先日、草食投資隊セミナーin奈良に参加し、懇親会でレオス・キャピタルワークスの藤野英人CIOとお話させていただき、いろいろ意見が一致するところが多々ありました。そうしたこともあって、レオス・キャピタルワークスのひふみ投信を新規に購入することにしました。私はインデックス投資至上主義者ではありませんので個別株投資もしますし、アクティブファンドでも優れたファンドだと判断できれば購入するタイプです。その意味で、ひふみ投信は現在の日本で購入する価値があるであろう数少ないアクティブファンドだと判断したわけです。
ひふみ投信を選んだ最大の理由は、やはり藤野さんをはじめとした運用責任者の顔が見えることでした。インデックス投資と異なり、アクティブ運用というの“どの銘柄を買うのか”という選択と決断が運用責任者には求められます。そこでは常に判断の基準となる哲学が必要なのであり、個人投資家もその哲学に賛同するからこそ、やはり受益者になるという“選択と決断”を行うといえるでしょう。その意味で藤野さんの投資哲学はユニークなものがありました。それは、例えば藤野さんの著書である投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)を読めばよくわかります。ここには投資を超えて日本社会や日本人のありように対する優れた批評性があり、大いに共感もしました。
もうひとつは、ひふみ投信が地味でニッチだけれども優秀な会社を自分の足で発掘しているという点です。日本の場合、アクティブファンドといえどもポートフォリオは大型株が中心のケースが多く、どうしてもインデックスに近い銘柄選択・構成比になります。そうなるとコストが高い分、どうやってもアクティブファンドはインデックスファンドに勝てません。アクティブファンドの特徴を生かすなら、インデックスに含まれていない銘柄を地道に探すことが必要です。この点でもひふみ投信のポートフォリオはユニークです。よくこんな会社を探してきたなと思う銘柄が散見され、それでいて参考指数(TOPIX)を上回るリターンをたたき出しているのですから、これこそアクティブファンドとしての存在価値があります。
そもそも大型株中心でアクティブ運用を行うなら、投資信託を使うよりも個別株投資をした方がコストもかかりませんし面白い。ところが超小型株や新興市場銘柄の場合、個人レベルで個別株に投資するというのは非常にハードルが高い。まず、個人投資家には情報が入ってきませんし、情報の入手も難しい。また、小型株や新興市場銘柄はリスクが高い分、十分な分散が必要なのですが、これを個別株投資でやろうとすると非常に大きな投資資金が必要になり、これも個人投資家レベルでは現実的ではありません。そこで小型株や新興市場銘柄にまで投資の幅を広げるためには投資信託を活用するのが合理的でしょう。そういう観点からもひふみ投信を選びました。
それともうひとつは、長期投資家を優遇する「資産形成応援団」の仕組みです。ファンドを長期に保有すれば信託報酬を実質割引する仕組みですが、日本の投資信託の歴史上、本当の意味で長期保有の受益者を大切にする仕組みを作ったのはあまり例がないのでは。それほど画期的な仕組みだと評価しています。また、信託報酬自体も税抜0.98%とアクティブファンドとしては低廉です。
ただ、今回のひふみ投信への投資は、あくまでサテライトという位置付けですから、それほど大きな金額を投入しません。すでに投資を行っているインデックスファンドの積立額を一部減額し、それをひふみ投信に回すようにします。ですから、アセットアロケーション自体は変化しないことになります。
今後もひふみ投信がこれまでのように優秀な成績を継続できるかはわかりません。運用資金が増えることで銘柄選択の幅も狭まってくるという問題もあります。アクティブファンドへの投資というのは、そいうリスクも受益者が負うということです。それだけに最後は運用責任者の投資哲学に対する共感が重要になります。引き続き本当の意味での長期投資を実行できるように頑張ってもらいたいと思います。
※ひふみ投信は、銀行や証券会社といった販売会社を通さない直販ファンドです。ネットから無料で口座を開設することができます.
※ひふみ投信と同じマザーファンドに投資するひふみプラスは、SBI証券、カブドットコム証券、楽天証券、マネックス証券など主要ネット証券や地方銀行などで買うことができます。