ギリシャ問題や中国株暴落などで、しばらくは株式相場も不安定な状況が続きそうな気配です。思い返せば2012年からほぼ一本調子で上げ相場が続いてきたわけですが、当然ながら相場が永遠に上昇を続けるといったことはありえません。かならず下げ相場というものがあり、ときには暴落も起こります。最近になって投資をスタートさせた人にとっては本格的な下げ相場の経験がないわけですから、いまのうちから心の準備をしておいた方がいいでしょう。私自身のことをいうと、積立によるインデックス投資は2012年末からスタートしたのですが、個別株の保有は2006年からになります。その間にリーマン・ショックあり、東日本大震災ありと、わずか10年の間にもいろいろありました。いちばんひどいときは、個別株の含み損がマイナス78%になったことも。そういう経験をシェアしておくことも大切だと思うので、恥ずかしながら今回のエントリーとなりました。
私は現在でも複数銘柄の個別株を保有していますが、最大ウエートを占めるのは関西電力です。これが大きな含み損の元凶です。ご存じのとおり東日本大震災と福島第一原発の事故によって全国の原子力発電所が停止となり、関西電力の業績は急激に悪化しました。このため無配転落となり、株価も急落。いちばんひどいときは含み損がマイナス78%に達しました。保有銘柄で最大ウエートを占める銘柄が、これほどの下落に見舞われると、ほかの保有銘柄が多少値上がりしたところで焼石に水です。悲しいかな日経平均株価が2万円台を回復した現在でも、関西電力株の含み損はマイナス50%です。このためインデックス投資では順調に含み益を増やしていながら、個別株全体では、いまだに含み損の状態です。
なぜ損切りしなかったのかと思われるかもしれませんが、普通のサラリーマンが株式を保有する場合、毎日株価を確認しているわけではありませんから、現実問題として機動的な損切りなどできません。気づいたときは大幅な含み損の状態となってしまい、塩漬けするしかなくなるのが現実です。私の場合も「えらく株価が下がっているじゃないか」と思って久しぶりに証券会社のサイトにログインして初めて含み損がマイナス78%になっていることに気づきました。さすがにこれだけ含み損があると笑えます。同時に、「売らなければ損は確定しない。当面は塩漬けや!」と居直って、現在にいたるわけです。
お恥ずかしい話ですが、そこからいろいろと学ぶこともありました。まず、どんなに含み損があろうが売らなければ損は確定しないということです。塩漬けは個人投資家の特権です。それと、リスク許容度の範囲なら、どれだけ損をしたって、生活は破綻しないということです。私の場合、リスク資産と無リスク資産の割合はだいたい50:50となっていて、生活防衛資金も生活費の2年分を用意しています。だから投資で多少の損が出ても日々の暮らしに支障はありませんでした。株で含み損を抱えたことよりも、リーマン・ショックのときは勤務先が倒産の危機となり、ボーナスが一律5万円しか出なかったり、給与も2年間にわたって10%カットとなったことの方がダメージは大きかった。当時は株の含み損よりも、年収減少にどうやって対応するかの方が大問題でした。
相場は上がることもあれば下がることもあります。儲かるときもあれば損するときもある。いちばん大事なのは、無茶なリスクを負って、市場から退場しないようにすることです。そのためには、やはりリスク許容度の把握が大事なのです。それさえできれば、あとは大らかで柔らかな精神で投資することができます。そういう鷹揚さが投資には欠かせないのではないでしょうか。個別株投資は続けながら、インデックス投資を始めたのも、より大らかな気持ちで投資を続けたいと思ったからでした。
最近、後輩などが「株でもやろうかな」といいだすことが多くなりました。私は「それは、いいことだ」といってあげるのですが、同時に「でも、株は損することもあるよ。君は含み損マイナス78%に耐えることができるか?」とも言ってあげます。現在のように上げ相場しか知らない人が投資の世界に参入してくるケースが増えると、下げ相場を経験している人が、ちょっと恥ずかしい体験をオープンにすることも必要でしょう。前車の覆るは後車の戒めですから。
追記
私がこの記事を書こうと思ったのは、いつも楽しく読んでる夢見る父さんのブログの次の記事を読んだからでした。
資産の75%を失った思い出(夢見る父さんのコツコツ投資日記)
さすがに夢見る父さんにはかないません。私もこれくらい大らかで柔らかな気持ちで投資を続けたいものです。