SBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)オリジナルプランで積立投資しているパッシブ型ファンド「EXE-i」シリーズの第12期(2024年5月14日~2025年5月12日)運用報告書が出ました。さっそく自分が購入している「EXE-i全世界中小型株式ファンド」と「EXE-i新興国株式ファンド」の運用報告書を確認します(その他のファンドについてはSBIアセットマネジメントのサイトを直接確認してください)。
SBIアセットマネジメント「EXE-i」シリーズは複数の海外ETFに投資するファンド・オブ・ETFsのパッシブ型ファンドです。純粋なインデックスファンドではありませんが、海外ETFを活用することで低コストなパッシブン運用を可能にしたファンドとして愛用しています。
まず「EXE-i全世界中小型株式ファンド」。第12期の騰落率は-3.0%、参考指標であるFTSEグローバル スモール・キャップ インデックス(円換算ベース)の騰落率は-3.1%でした。分配金はなしです。当該ファンドは「バンガード米国ミッドキャップ・グロース ETF」「バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)スモールキャップETF」「SPDR ポートフォリオ S&P 600 スモールキャップ ETF」というベンチマークの異なる3つのETFに投資していますから、参考指標とは厳密には追随しません。それでも、ほぼ参考指標に近い騰落率となっており、パッシブ型ファンドとしては合格点でしょう。騰落要因としては当該期後半にトランプ関税による大幅下落があり、その後は株価も回復したのですが、戻り切る前に決算を迎えたということでしょう。
運用報告書の費用明細上の実質コストは以下のようになりました(FoETFsのため信託報酬以外に投資対象ETFの信託報酬がかかります。投資対象ETFのコストは運用報告書の参考情報からとりました)。
「EXE-i全世界中小型株式ファンド」
信託報酬:0.197%
売買委託手数料:0.001%
有価証券取引税:0%
その他(保管、監査)費用:0.02%
合計:0.218%
投資対象ETF信託報酬:0.06%
実質コスト合計:0.278%
第11期の実質コスト合計は0.284%でしたから、若干コストが低下しています。期末の純資産残高が181億1100万円(前期末は177億8500万円)と増加していますから、運用効率も少しずつ高まっていると考えられます。世界の中小型株に低コストで分散投資できるパッシブファンドは比較的少ないので、依然として「EXE-i全世界中小型株式ファンド」は貴重な存在。私はiDeCoのポートフォリオのスパイスとして愛用しています。
次に「EXE-i新興国株式ファンド」の第12期の騰落率は+3.0%、参考指標であるるFTSE・エマージング・インデックス(円換算ベース)の騰落率は+4.5%でした。当該ファンドは「バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツ ETF」「SPDR ポートフォリオ・新興国株式 ETF」に投資しており、韓国株の比率などが参考指標と大きく異なるため、やや乖離した騰落率となります。市況としては、中国当局による景気刺激策への期待などが株価を押し上げる一方、トランプ関税による先行き不安が市場の重石になっています。
運用報告書の費用明細上の実質コストは以下のようになりました(FoETFsのため信託報酬以外に投資対象ETFの信託報酬がかかります。投資対象ETFのコストは運用報告書の参考情報からとりました)。
「EXE-i新興国株式ファンド」
信託報酬:0.105%
売買委託手数料:0%
有価証券取引税:‐
その他(保管、監査)費用:0.018%
合計:0.123%
投資対象ETF信託報酬:0.07%
実質コスト合計:0.13%
第11期の実質コスト合計は0.236%でしたから、こちらも大幅に減少しています。投資対象ETFの信託報酬が第11期は0.11%だったのが第12期は0.07%に低下していることが奏功しています。また、期末の純資産残高も215億6000万円(前期末は198億2100万円)と増加しており、やはり運用効率が若干高まったと考えられます。新興国への投資は現地の資本規制や税制の関係でどうしても実質コスト割高になりやすい中で、0.13%というのは極めて低コスト。新興国株式に投資したい個人投資家にとっては非常に魅力的なファンドでしょう。
「EXE-i」シリーズは2024年にファンド自体の信託報酬引き下げや、投資対象ETFをさらに低コストなものに変更することで実質的負担を引き下げ、名称も一部変更するなどで大幅にリニューアルされました(「EXE-i」シリーズが一段と低コストファンドに生まれ変わった)。FoETFsというファンド形態は好みの分かれるところですが、例えば全世界中小型株に投資するパッシブファンドは競合も少なく、ユニークで低コストなパッシブ型ファンドとして評価できます。また、SBI証券のiDeCo(オリジナルプラン)を使っている人にとっては依然として重要な役割を担うファンドシリーズです。
運用報告書を読むと、引き続き低コストで安定的に運用されていることが確認できました。今後も安心して積立と保有を続けることができると言えるでしょう。