2018年9月22日

確定拠出年金でアクティブファンドを買ってはいけない単純な理由



最近、どうも知人の間で私が投資や金融商品に詳しいという噂が広まってきたようで、いろいろと相談される機会が増えてきました。なかでも圧倒的に多い相談が「勤務先が企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入しているんだけど、どの商品を選べばいいかわからない」というものです。この場合、どういったポートフォリオを組むのかは、その人のアセットアロケーション次第なので一概にはアドバイスできないのですが、共通して指摘しているのが「企業型、個人型とも基本的に確定拠出年金でアクティブファンドを買ってはいけない」ということです。それにはものすごく単純な理由があります。

一般論として、アクティブファンドが継続的にインデックスファンドを上回るリターンを上げることは非常に難しいということは過去のデータからもある程度は確認されています。一方、インデックスファンドを大きく上回るリターンを上げ続けている素晴らしいアクティブファンドも必ず存在しています。だから、アクティブファンドを選ぶこと自体は、それはそれで立派な運用戦略となります。

にもかかわらず、なぜ確定拠出年金でアクティブファンドを選んではいけないのか。理由は極めて単純です。確定拠出年金では優れたアクティブファンドを選ぶこと自体が、そもそも“できない”可能性が極めて高いからです。

現在、日本には5000本以上のアクティブファンドが存在します。この中にはインデックスファンドを凌駕する素晴らしい成績を上げたり、あるいはインデックスファンドにはない様々な付加価値を提供してくれる素晴らしいファンドが確実に存在します。そういったファンドを見つけるのがアクティブファンドに投資する楽しみでしょう。

ところが確定拠出年金の場合、選択肢が自分の加入しているプランに含まれる商品に限定されます。つまり、優れたアクティブファンドを選ぼうと思っても、そもそも選択肢がない。プランに含まれているアクティブファンドが“優れたアクティブファンド”である蓋然性が極めて小さいのです。これが「確定拠出年金では、そもそもアクティブファンドを選ぶことができない」という意味であり、確定拠出年金でアクティブファンドを買ってはいけない理由です。

ちなみに、これは確定拠出年金だけでなく、やはり対象商品が限定される「つみたてNISA」でも同様です。確定拠出年金や「つみたてNISA」のように投資対象商品が限定される制度では、よほど気に入ったファンドでもないかぎりアクティブファンドを選んではいけない。基本的にインデックスファンドを選ぶのが本筋となります。そうすれば確実に市場平均は確保できるでしょう。

そして、アクティブファンドを買うなら、通常の課税口座を使って、できる限り幅広い選択肢の中から素晴らしいファンドをじっくりと探し出せばいい。それがアクティブファンドを買う楽しみでもあるのです(たとえ失敗して損をしても、課税口座なら損益通算できるのが大きなメリットです)。

※こうしたことを踏まえると、インデックスファンドのラインアップが貧弱な確定拠出年金プラン(とくに企業型)は、極めて劣悪なプランだということを改めて強調しておきます。

関連コンテンツ