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2024年10月7日

投資信託への認識が変わった―「投信ブロガーが選ぶ!」から「個人投資家が選ぶ!」に進化

 

今年も投信ブロガーにとっての恒例行事である「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」(FOY)の季節が来ました。そのFOYですが、今年から「個人投資家が選ぶ!Fund of the Year2024」へと進化します。


近年、投資信託に対する世の中の認識が大きく変わっていることを考えると、当然の変更でしょう。なお、投票期間は11月1日~30日です。

公式サイトの説明にあるように、今回から投票資格が投信ブロガーだけでなく個人投資家全体に拡大されます。また、インデックスファンド部門とアクティブ部門に分けられました。こうした変更の理由として、実行委員会は、ここ数年で個人を取り巻く投資環境が大きく変化したことを挙げています。

振り返ると、FOYがスタートした2007年といえば、投資信託という商品に対する個人投資家の認識が今とはまったく異なっていました。当時、投資信託といえば証券会社や銀行など半場会社が積極的にセールスしていた商品(その中には、高コストなアクティブファンドや毎月分配型ファンドなどが多かった)が主流だった一方、自分で商品を吟味できる個人投資家の多くは投資信託という商品自体を信用せず、ほとんどが個別株投資をしていた時代です。

そんな中、ごく少数の個人投資家が低コストなインデックスファンドの存在に着目し、投資信託を使った資産形成の方法論をブログなどで紹介していました。そういう少数だけれども、世界では主流となっているインデックス投資を日本で実践している投信ブロガーの声というのは、貴重だったのです。そこに「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」が生まれ、その結果が注目されるようになった理由があります。

そして現在、新NISAなどの登場によって投資信託を使った資産形成ちう方法が、ようやく世間に広く認知され始めています。これまで投信ブロガーがFOYなどを通じて声を上げ続けた結果、運用会社も極めて低コストなインデックスファンドを販売するようになり、低コスト競争が継続されるようになっています。これこそFOYの成果でしょう。そう考えると従来のFOYは、良い意味で歴史的役割を終えたと言えます。そして今後は、より幅広い個人投資家の声を集約し、運用会社などに伝えていく段階に入ったということです。それが今回のFOY進化の意味だと思います。

また、今回からインデックスファンド部門とアクティブファンド部門に分けられたのも良い判断だと思います。私も以前から指摘してきたのですが、やはりインデックスファンドとアクティブファンドは評価基準がまったく異なるのですから、カテゴリーを分けて評価すべきなのです。とくに個人投資家にとってのアクティブファンドの評価基準というのは今まであまり明確になっていませんから、今回の結果は、“良いアクティブファンドとは何か”という問題に対するひとつの答えが可視化されるでしょうから、要注目です。

あと、投票者全員の集計結果とは別に、投信ブロガーの投票者だけを抽出した結果も集計されるというのが面白い。全体結果との違いから、いろいろな点が見えてくると思います。

投票は11月1日から始まりますが、私もそれまでいろいろと考えながら、投票したいと思います。

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