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2023年8月7日

GPIFの2023年4~6月の運用成績は+9.49%―“稲妻が輝く瞬間”をとらえる

















 
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2023年度第1四半期(4~6月)運用状況が発表されたので定例ウオッチです。2023年4~6月の期間収益率は+9.49%、帳簿上の運用損益はプラス18兆9834億円でした。市場運用開始来の収益率は年率+3.97%となり、運用資産額は219兆1736億円となっています。


国内外の株式上昇に加えて、円安による評価額上振れもあって素晴らしい成績となっています。まさに“稲妻が輝く瞬間”でした。

2023年4~6月は、米国株市場が半導体需要回復への期待から上昇し、日本株市場も海外からの旺盛な資金流入で大幅に上昇しました。債券市場は海外での金利上昇が続いていることで外国債券の価格が低下していますが、日本に金融緩和が継続していることで円安基調が続き、結果的に債券価格の下落以上に円換算価格が上昇しています。このため外国株式、国内株式、外国債券、国内債券の4資産すべてがプラスリターンとなりました。

非常に好調な運用成績となったわけですが、GPIFは極めて冷静な評価を下しています。宮園雅敬理事長は「今四半期は大きなプラス収益となりましたが、あくまで短期の結果です。また、四半期でプラス9.49%という数字は、モデルによれば、9年(36四半期)に1回程度しか現れないものです」とコメントしています。

とはいえ、9年に1回程度しか起こり得ない相場の急上昇を確実にとらえたのも事実です。これこそよく言われる“稲妻が輝く瞬間”というものであり、そのリターンをGPIFが確実に享受できたのは、やはり常に相場に居続けたからです。GPIFの運用益が大きくなってくると、すぐに「はやく利益確定しろ」などと言う人がいるのですが、そういった短期的な姿勢では、今回のような“稲妻が輝く瞬間”をとらえることは難しかったでしょう。

やはり超長期投資を旨とするGPIFの運用には、個人投資家も参考にすべき点が大いにあります。つねに市場に居続けることの重要性は、じつに大きい。それは凡庸だけれども、偉大な凡庸さなのです。

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