2023年4月23日

さらなる制度の充実を期待―2023年4月の個人型確定拠出年金(iDeCo)積立と運用成績

 

SBI証券のプランで拠出している個人型確定拠出年金(iDeCo)の4月の買付(3 月拠出分)が約定したので定例報告です。2024年から新NISAがスタートすることもあり、やや存在感の低下が指摘されているiDeCoですが、やはり老後資金の準備に特化した制度として存在意義は大きいはずです。ここにきて制度改正の動きも出てきましたから、さらなる充実を期待したいところです。

SBI証券のiDeCoオリジナルプランで買付けたファンド・商品は以下の通りです(カッコ内は信託報酬)。いつも通りのポートフォリオとなっています。

【個人型確定拠出年金(SBI証券iDeCoオリジナルプラン)】
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド」(0.16%)
「DCニッセイ外国株式インデックス」(0.1023%)
「EXE-i新興国株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.1085%程度)
「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.058%程度)
「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(0.14%)
「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」(0.34%)
「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」(0.27%以内)
「あおぞらDC定期」

累積損益率は4月21日段階で+38.1%でした。ここにきて日本株も上昇傾向となるなど、やや相場が盛り返していることで損益率も再び増加してきました。保有比率がもっとも大きい「DCニッセイ外国株式インデックス」の信託報酬が下がっていることも受益者としては嬉しいものです。

そのiDeCoですが、2024年からNISA制度が大幅な拡充される関係で、資産形成のツールとしてプレゼンスがやや低下しています。しかし、老後資金の準備に特化した制度として、iDeCoにはまだまだ存在意義があると思います。そうした中、厚生労働省もiDeCoの制度改正に向けた議論をスタートさせました。


改正議論の観点として「国民の様々な働き方やライフコースの選択に対応し、公平かつ中立的に豊かな老後生活の実現を支援することができる私的年金制度の構築」「私的年金制度導入・利用の阻害要因を除去し、より多くの国民が私的年金制度を活用することができる環境整備」「制度の運営状況を検証・見直し、国民の資産形成を促進するための環境整備」の3点が挙げられています。

この中で、とくに注目したいのは一つ目の「国民の様々な働き方やライフコースの選択に対応し、公平かつ中立的に豊かな老後生活の実現を支援することができる私的年金制度の構築」です。じつはiDeCoには加入者の属性によって享受できる恩恵に差があります。例えば1号加入者と2号加入者の掛金上限の違いの合理性、受給時の税制優遇である退職一時金控除のあり方、などなど。こうした問題に、ぜひ「公正かつ中立」な制度への改正を求めたいところです。さらなる制度の充実を期待し、議論を見守りたいと思います。

【ご参考】
iDeCoに加入する場合、金融機関によって手数料や商品ラインアップが異なることに注意が必要です。現在、iDeCoプランの選択肢としてお薦めなのは運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえるSBI証券セレクトプラン、楽天証券、マネックス証券、松井証券、イオン銀行です。iDeCoへの加入を検討している人は、これら金融機関のプランを研究することをお勧めします。いずれもネットから無料で資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン楽天証券確定拠出年金プランマネックス証券確定拠出年金プラン松井証券確定拠出年金プランイオン銀行確定拠出年金プラン

iDeCoは公的年金を補完する制度ですから、これを活用する前提として日本の公的年金制度について勉強することを強くお勧めします。この点に関しては、権丈善一先生の『ちょっと気になる社会保障』が最良にして必読の入門書です。このほど、三訂版『ちょっと気になる社会保障 V3』が刊行されました。また、iDeCoも含めて現在の公的年金制度を徹底的に利用するための戦略書として田村正之さんの『人生100年時代の年金戦略』が非常に網羅的にまとめられていてお勧めです。家計管理から貯蓄・投資、公的年金やiDeCo・つみたてNISA活用までトータルに解説している竹川美奈子さんの『50歳から始める! 老後のお金の不安がなくなる本』も老後資金について“自分ごと”として考えるための方法論を丁寧かつ詳細に論じた優れた入門書です。



iDeCoは制度がやや複雑なので加入を検討する場合は解説書を読んで研究することもお勧めします。大江英樹さんの『はじめての確定拠出年金投資』山崎元さんの『確定拠出年金の教科書』『シンプルにわかる確定拠出年金』田村正之さんの『はじめての確定拠出年金』などが優れた解説書ですが、最新の制度改正にも対応した入門書として竹川美奈子さんの『[改訂新版]一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』と大江加代さんの『最強の老後資産づくり iDeCoのトリセツ 2022年施行 法改正完全対応版』を挙げておきます。

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