2021年4月16日

日本株は堅調、新興国株は勢いが一服か―「iTrust世界株式」の2021年3月の運用成績

 

サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2021年3月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の3月の騰落率は+6.34%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+6.11%でした。ここしばらく参考指数を下回る状態が続いていましたが、3月は再びアウトパフォームするなど勢いが戻ってきました。一方、ピクテはこれまで好調だった新興国株式の勢いが一服するとの見通しも出してきました。

3月は米国の長期金利上昇が嫌気されて株価も下落する局面がありましたが、バイデン政権による大規模経済対策への期待や中国の経済指標が予想を上回ったことなどが好感され、最終的には大幅な上昇となっています。依然として新型コロナウイルス感染拡大が続いていますが、ワクチン接種の進展も含めて経済正常化への期待が根強いことをうかがわせます。

ただ、やはり長期金利上昇の影響は無視できません。とくに影響を受けるのが新興国株式です。ピクテはこれまで日本株と新興国株のオーバーウェイトを推奨していましたが、「iTrust」シリーズの受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」4月号では新興国株をニュートラルに引き下げています。

基本的にドル高と長期金利上昇は新興国にとって逆風ですが、とくに経常収支の悪い国は通貨防衛とインフレ抑制を余儀なくされます。とくにブラジル、トルコ、ロシアは金融緩和の継続が難しくなりそうとのことです。また、米国株も現在のバリュエーションが正当化されるには企業業績の伸びが過去平均を上回り、米国の長期金利が2%を下回ることが条件となると指摘しています。このため米国株はアンダーウェイト推奨が継続されています。

一方、長期金利の上昇はバリュー株や先進国株、とくにバリュエーションが相対的に低い日本株が、やはり相対的に堅調に推移する要因になるというのがピクテの見立て。このため日本株は引き続きオーバーウェイトが推奨されることになりました。

もうひとつ面白いのが、月次運用報告書で指摘されていたインフレ圧力の影響です。インフレ率が上昇すれば企業はコスト高を値上げによって転嫁しないと収益が悪化します。そうなると、コスト高を販売価格に転嫁することができるような優良企業の競争優位性が今後高まることになります。このあたりが今後の銘柄選択のポイントになるかもしれません。

【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券やカブドットコム証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プランauカブコム証券確定拠出年金プラン

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