2021年1月23日

アクティブファンドは選択肢となり得るか―2021年1月の個人型確定拠出年金(iDeCo)積立と運用成績

 

2021年が始まりましたが、あいかわらず好調な相場が続いています。新型コロナウイルス禍は収まる気配もなく、緊急事態宣言まで再発令されているというのに皮肉なものです。その2021年最初の投資です。SBI証券で運用している個人型確定拠出年金(iDeCo)が約定しました。こちらも運用は絶好調。そんな確定拠出年金ですが、最近ではアクティブファンドでも好調な成績となるファンドに注目が集まっているとか。はたしてiDeCoを含めた確定拠出年金(DC)でアクティブファンドは選択肢となり得るのでしょうか。

SBI証券のiDeCoオリジナルプランで買付けたファンド・商品は以下の通りです(カッコ内は信託報酬)。いつも通りのポートフォリオとなっています。

【個人型確定拠出年金(SBI証券iDeCoオリジナルプラン)】
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド」(0.16%)
「DCニッセイ外国株式インデックス」(0.189%)
「EXE-i新興国株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.1095%程度)
「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.075%程度)
「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(0.14%)
「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」(0.34%)
「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」(0.27%以内)
「あおぞらDC定期」

累積損益率は1月21日段階で+29.0%となり、引き続き評価額も含めて過去最高を更新し続けています。いまや、何を買っても儲かるという状況となっており、いかに現在の相場に勢いがあるかがまざまざと見せつけました。

さて、見ての通り私はiDeCoをインデックスファンド中心で運用しているのですが、やはりアクティブファンドもそれなりに人気があります。とくに最近は成績好調なアクティブファンドへの注目が高まっているそうです。


運用成績が好調なら資金が集まるというのはDCにかぎらずよくある傾向ですが、それでは果たしてDCの運用でアクティブファンドは選択肢となり得るのでしょうか。これは非常に難しい問題ですが、やはり私はDC運用の“コア”にはなり得ないと考えています。なぜなら、DCは年金運用である以上、“勝つ”ことよりも“負けない”ことの方が重要だからです。

そもそも年金運用というのは、資産を大きく増やすことよりも、将来のインフレなどに劣後しないようにして購買力の維持を目的とするものです。言い換えると、経済全体の成長に追随した資産の成長を確保しなければなりません。この場合、もっとも避けるべきは一人負けの状態になることです。

しかも年金運用というのは一生涯をかけて行う長期運用ですから、原理として一生のうち一回しか実行できません。そうなると、ここで“負ける”と、もう取り返すことができないわけです。この点からも、やはり“勝つ”ことよりも“負けない”ことの方が重要となります。

そう考えると、やはりDCのような年金運用は、インデックスファンドをコアに置くことがふさわしいということになるでしょう。これはアクティブファンドがインデックスファンドに勝てないなどと言いたいわけではありません(実際にインデックスファンドに勝つアクティブファンドは必ず存在します)。そうではなく、インデックスファンドは市場平均に対して“負けない”から年金運用にふさわしいということです。

ですから、DCではあくまでインデックスファンドを中心に置き、もしアクティブファンドを組み入れるならポートフォリオのスパイス程度のウエートに抑えておく方が無難でしょう。そして、どうしてもアクティブな運用をしたいなら、それはDCのような老後のために資金とは別の余裕資金で、それこそアクティブファンドだけでなく個別株も含めて運用すればいいのです。

私はインデックスファンドもアクティブファンドも、そして個別株もそれぞれ投資対象として優劣はないと考えています。そもそも異なる目的と性格を持った金融商品なのだから、比較すること自体が無意味。ただ、それぞれの商品の性格が運用目的に適しているか判断し、選択することが必要でしょう。そういう観点から、やはりDC運用のコアにはアクティブファンドよりもインデックスファンドの方がふさわしいと考えるのでした。

【ご参考】
iDeCoに加入する場合、金融機関によって手数料や商品ラインアップが異なることに注意が必要です。現在、iDeCoプランの選択肢としてお薦めなのは運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえるSBI証券セレクトプラン、楽天証券、マネックス証券、松井証券、イオン銀行です。iDeCoへの加入を検討している人は、これら金融機関のプランを研究することをお勧めします。いずれもネットから無料で資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン楽天証券確定拠出年金プランマネックス証券確定拠出年金プラン松井証券確定拠出年金プランイオン銀行確定拠出年金プラン

iDeCoは公的年金を補完する制度ですから、これを活用する前提として日本の公的年金制度について勉強することを強くお勧めします。この点に関しては、権丈善一先生の『ちょっと気になる社会保障』が最良にして必読の入門書です。このほど、三訂版『ちょっと気になる社会保障 V3』が刊行されました。また、iDeCoも含めて現在の公的年金制度を徹底的に利用するための戦略書として田村正之さんの『人生100年時代の年金戦略』が非常に網羅的にまとめられていてお勧めです。家計管理から貯蓄・投資、公的年金やiDeCo・つみたてNISA活用までトータルに解説している竹川美奈子さんの『50歳から始める! 老後のお金の不安がなくなる本』も老後資金について“自分ごと”として考えるための方法論を丁寧かつ詳細に論じた優れた入門書です。



iDeCoは制度がやや複雑なので加入を検討する場合は解説書を読んで研究することもお勧めします。解説書としては大江英樹さんの『はじめての確定拠出年金投資』山崎元さんの『確定拠出年金の教科書』『シンプルにわかる確定拠出年金』竹川美奈子さんの『一番やさしい!  一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』田村正之さんの『はじめての確定拠出年金』大江加代さんの『図解 知識ゼロからはじめるiDeCo(個人型確定拠出年金)の入門書』を挙げておきます。





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