2020年12月7日

株価上昇局面で保有リスク資産を一部売却するのも立派な見識―いまこそリバランスのタイミングかも

 

このところ世界的に株価が急上昇したことで、保有するリスク資産の評価額がかなり増えた人も多いことでしょう。こうなると、ちょっと利益確定で売りたくなった人も多いのでは。普通、「むやみやたらに売買するべきでない」とアドバイスされるケースが多いのですが、現在のような急激な株価上昇局面では、保有するリスク資産の一部を売却するのも立派な見識だと思います。なぜかというと、これだけリスク資産の評価額が上昇すると、もしかしたら自分のリスク許容度を超えた金額を投資しているかもしれないからです。だとすると、いまこそリバランスのタイミングかもしれません。

個人投資家が長く投資を続けるコツは、なんといっても自分のリスク許容度の範囲内で投資することです。リスク許容度を超えて投資すると、大きな下落局面に遭遇した時に想像以上のダメージを受けて市場から撤退を余儀なくされるからです。こうした状況を避けるためには、つねにポジションを一定に保つことが必要であり、自分のポートフォリオが既定のポジションから大きく乖離すれば、それはリバランスを行うタイミングとなります。

普通、リバランスは下落局面で保有リスク資産の評価額が大きく減り、ポジションが既定から下方乖離した際に買い増しすることが効果的とされます。しかし、この原理は現在のような上昇局面でも当てはまります。保有リスク資産の評価額が既定ポジションから大きく上方乖離したなら、やはり一部を売却することでポジションを引き下げるのは合理的な判断。しかも、ポジションが上方乖離しているということは、自分のリスク許容度を超えている可能性もあります。そうなると、ますますリバランスしてリスク資産のウエートを引き下げることは大切になります。

私自身、今回の株価急上昇で資産総額は過去最高を更新し続けているのですが、必然的にリスク資産のウエートも過去最高となりました。基本的にリスク資産と無リスク資産の割合を半々にしているのですが、さすがにここにきてリスク資産の割合が50%を大きく超えてきたわけです。一方で本業の方は大幅な収入減少に直面しているという皮肉な状態。リスク許容度はむしろ下がっています。そこで今回、保有する株式の一部を売却し、リスク資産のウエートを50%まで戻しました。まさに“利益確定”ではなく“リバランス”です。

ちなみに、売却には個人的なテクニカルな理由もあります。今年は保有していたNTTドコモ株がNTTにTOBされ、いわば強制的に利益確定することになりました。ここでかなり大きな株式譲渡益が出ており、税金もかなり取られています。そこで保有する株式の中で含み損になっている銘柄を一部売却し、損益通算で少しでも税金を取り返そうという狙いもあります。

いずれにしても現在のような株価急上昇の場面というのは嬉しい反面、気づかないうちにリスク過剰になっているかもしれない怖い局面でもあるわけです。こういった時こそ、冷静にポートフォリオの状態を確認するべきでしょう。やはり、いまこそリバランスのタイミングかもしれないのですから。

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