本格革靴の楽しみのひとつにレザーソールの履き心地があります。固い地面を歩いていても、まるで絨毯の上を歩いているような柔らかな感覚があります。こればかりはゴム底靴とは比べ物になりません。ただ、レザーソールの弱点は耐久性。どうしても地面のアスファルトやコンクリートで削られてしまう。そこで少しでも寿命を延ばすために大切なのが、定期的なメンテナンスです。
革靴を長く使うためにはアッパーの革の手入れが欠かせないのですが、レザーソールの靴の場合、ソールも同様に手入れしなければすぐに穴が開いてしまいます。ソール交換すればいいという考え方もあるのですが、グッドイヤーウェルト製法の靴でもソールを縫い付けるウェルトが交換時にどうしても痛むので、ソール交換できる回数には限りがあります。このため、できるだけソールの寿命を延ばすことが非常に大切なのです。
ソールを補強する代表的な方法はハーフラバーを張ることですが、これではどうしてもレザーソールの履き心地が損なわれるので、私の場合はだいたい削れやすい爪先部分だけビンテージスチールで補強し、後はそのままでレザーソールを楽しむことにしています。その際に大切なのがレザーソールを定期的にメンテンナスすること。これをやるだけでソールの寿命が明らかに伸びます。
レザーソールのメンテナンスは、アッパーの手入れよりはだいぶ簡単。まずは濡れ雑巾などでソールの汚れを落としてから、レザーソールコンディショナーをたっぷりと塗り込む。コンディショナーが浸み込んだら、水牛の角や牛骨、金属片など硬くて平滑なもので革の表面を強くこすって押し込むだけです。これで革をしっかりと“締める”ことでソールの耐久性が上がります。
レザーソールコンディショナーはいろいろなメーカーから出ていますが、私が愛用しているのはコロンブスの「ブートブラック LEATHER SOLE CONDITIONER」。ホホバ油、ビーズワックス、ミネラルオイルが使われており、しっかりとソールに栄養を供給し、保護してくれます。また、防カビ剤が配合されていることもポイント。レザーソールは日本の気候だとどうしてもカビが生えやすいのが弱点だからです。このあたりの配慮は、さすが日本のメーカーの商品です。
先日、愛用しているユニオンインペリアルのセミブローグのレザーソールをメンテンスしました。革が見違えるように締まったので、しばらくは削れるスピードを抑えることができるでしょう。やはり革靴の手入れは、アッパーだけでなくソールにも気を配りたいもの。せっかくきれいに磨き上げられた靴を履いていても、靴底に穴が開いているのを見られたりしたら台無しだからです。