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2020年9月29日

“日本オワコン”論には国際比較の視点が欠けている

 









最近は日本でも若い投資家の間でホームカントリー・バイアスがかなりなくなってきたこともあり、外国株式に自然な感覚で投資する人が増えています。それはそれで素晴らしいことなのですが、一方でちょっとした反動というべきか、「日本には投資するべきではない」といった極端な“日本オワコン”論も一部でささやかれています。それを批判する気はありませんが、ちょっと視野狭窄ではないかと感じることも。なぜなら、そこには国際比較という視点が欠けているような気がするからです。そういったことを改めて感じさせる研究結果が発表されました。

日本オワコン論の根拠としてよく指摘されるのが、少子高齢化による人口減少です。これはほぼ確定している要素ですから、なるほど説得力があります。ところが最近、ワシントン大学の研究者によるユニークな研究結果が世界的な医学専門誌「ランセット」に発表され、日本でも報道されました。

Fertility, mortality, migration, and population scenariosfor 195 countries and territories from 2017 to 2100:a forecasting analysis for the Global Burden of Disease Study (THE LANCET)

人口半減も世界4位維持 80年後、日本の経済推計(産経新聞)

医学的見地から80年後の世界各国の人口構成を推定し、そこから経済規模を予測たところ、なんと日本は依然としてGDPが世界4位の地位にいると考えられるそうです。オワコンどころか、まだまだ健在というわけです。

なぜこんな結果になるのかと言えば、少子高齢化と人口減少は日本だけでなく、世界共通の問題だからです。他の先進国も日本と同じように少子高齢化が進み、さらに現在は人口が増加している新興国も、やがて人口減少に突入します。

こうした傾向がとくに顕著なのは中国でしょう。現在は世界最大の人口を擁することから、2050年にはGDPが世界1位となるものの、その後は急速に人口減少に突入し、再び米国に1位の座を開け渡すと予想されました。やはり一人っ子政策の後遺症が大きいのです。

一方、日本は人口が半減し、GDPもインドにこそ抜かれますが、それでも世界4位の地位を保つとか。欧州諸国など後続の先進国も日本同様に人口が減少するため、相対的に日本の地位低下の度合いが少なくなるわけです。

もっとも、あくまでシミュレーションですから、この予想を完全に信じることはできません。ただ、ひとつの可能性だということです。それでも、こうした国際比較の視点を持つと、安直な“日本オワコン”論が、なんとも軽薄に見えてくるのも事実でしょう。

そして、これは国際分散投資の上でも興味深い示唆を与えてくれるのではないでしょうか。80年後も日本はGDP世界4位の地位を占めるとすると、はたして「日本に投資するべきではない」と言い切れるのかということです。また、80年後のGDP2位と3位は中国とインドだとすると、この2カ国を含む現在の新興国への投資は、じつは有意義なのではないかと考えることもできます。

こうしたことを考えると、やはり先進国、新興国、そして日本に分散投資することの意味は大きいと感じます。そのことが今回、“医学的見地”からもサポートされたと言うことができるのかもしれません。

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