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2020年3月18日
暴落相場の中で買いに向かう積立投資家たち
あいかわらず世界中がパニック相場となり、売りが売りを呼ぶ展開が続いています。こういう相場付きになると、それこそ新たに資金を投入するのが怖くなるのが人情というもの。実際に一時的にでも株式市場から撤退している個人投資家もかなりいるはずです。ところが、そういったパニック相場でも買いに向かう個人投資家たちがいます。それが積立投資家たちです。
SBIや楽天、投信の積立額が増加 株価下落で個人が開始(「日本経済新聞」電子版)
株式市場が総悲観となっている中で、もしかしたら新しい長期投資への息吹が芽生えているのかもしれません。
日経新聞によると、SBI証券と楽天証券ではここ数カ月で投資信託の月間の積立額が増加し、新規口座の開設数も増加ペースが速まっているようです。同紙では「新型コロナウイルスの感染拡大による影響を懸念し、株式相場が大きく下落するなか、新たに積み立て投資を始める好機と考える個人投資家が多いことがうかがえる」と分析しています。
以前にこのブログでも現在のようなパニック相場で買いに向かえるのは積立投資家などだろうと指摘しましたが、どうやら実際にそうなっているようです。そして改めて考えてみると、やはり投資のリターンの源泉は“価値のある資産を「安く」買うこと”に尽きるわけですから、現在のようにすべての資産が叩き売られている状況で買いに向かうというのは、ある意味で合理的な判断に思えてきます(もっとも、相場の先行きは読めませんから、この段階で買いに向かうことが吉と出るか凶と出るかはわかりません)。
それよりも感じたことは、日本の個人投資家の“質”が大きく変わろうとしているのではないかということです。短期的な相場の上げ下げを注視するのではなく、もっと長期的な視点を持った本物の長期投資家たちが積立投資という方法を通じて少しづつですが、しかし確実に育っているのでないかということです。それは日本の投資文化の中である種の“革命”です。まさにパニックの中から革命の火が灯り始めたという印象を持ちます。
以前書いたの記事で、ジョン・テンプルトン卿の“Bull markets are born on pessimism, grow on skepticism, mature on optimism and die on euphoria.”(強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく)という言葉を紹介しました。この言葉のひそみに倣うなら、「本物の長期投資家は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育つ」と言えるのかもしれません。