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2020年3月15日

積立投資家が下落相場でも積立を止めてはいけない理由



新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる混乱で世界的に株価が大暴落しました。混乱がいつ収まるのかまったく予想できず、世界経済への悪影響も不可避でしょう。このため株式市場もさらなる下落があってもおかしくない状況です。こうなるとリスク資産への投資は一時的にでも手控えるという判断があってもおかしくありません。“休むも相場”ですから。ただし、ひつと例外があります。それは積立投資。積立投資家は下落相場でも積立を止めてはいけません。なぜなら、積立という投資戦略は、下落相場でも積立を続けることが前提となっているからです。

積立投資と一括投資のどちらが優れているかというのはよく議論になるテーマですが、少なくとも投資効率という点では一括投資の方が合理的です。例えば上昇相場で積立投資をしていると、元本となる平均買付額がどんどんと切り上がっていくので、結果的にリターンを減少させることになります。ですから、少なくとも株価が最終的に上昇するという前提に立つと積立投資よりも一括投資の方が優位性があるわけです。

ところが実際の株価の動きというのは上昇と下落を繰り返します。その前提を受け入れた上で、投資期間全体の平均的な価格で元本を投入し、そこから評価額が上回った分をリターンとして確保しようというのが積立投資の基本戦略です。そして、投資期間全体での平均価格で買付を実現するためには、下落相場でも積立を続けることが不可欠なわけです。

もし下落相場で積立を止めてしまうと、積立投資のリターンは悲惨なものになるでしょう。なぜなら上昇相場で平均買付額が上がったのに対して、下落相場でそれを引き下げることを放棄することになるからです。二手一組の手順の内、片方だけを手抜いてしまっては戦略は根本的に崩壊するのは当然のことでしょう。これこそ積立投資家が下落相場でも積立を止めてはいけない理由です。

だから上昇相場で積立投資を続けるだけでは積立投資家として、まだ一歩目も踏み出せていません。下落相場の中で積立を続けることができてこそ、初めて積立投資をやっていると言えるわけです。その意味でリーマン・ショック以降に積立投資をスタートさせた人は、これからが本番。今後の下落相場でも積立を続けることができてこそ、初めて本物の積立投資家になることができるのです。

それでは下落相場の中でも積立投資を続けるコツは何でしょうか。ひとつは“相場のことなど忘れる”ことです。相場の状況がどうなろうとも積立を続けなければならないわけですから、はっきり言って気にするだけ無駄。そんな暇があるなら、もっと楽しいことに時間を費やした方が良い。だから私は下落相場になるといつも「相場のことなんか忘れて南の島にでも遊びに行こう」と言うのです。

そして、相場のことを忘れても積立投資を継続するのに最適なのが証券会社の自動積立サービスの利用や、天引きによる個人型確定拠出年金(iDeCo)を通じた投資でしょう。恐らく現在のパニック相場でも淡々と買いに向かえているのは、そういった人々のはず。そして、それは積立という投資戦略を選択した以上、必ず通らなければいけない道なのです。

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