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2019年10月3日

消費税ポイント還元制度でQRコード決済などキャッシュレス決済は一気に普及する



消費税が10%に引き上げられたのに合わせて、キャッシュレス決済(クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など)で代金を支払った際に購入額の最大5%のポイントが付与される消費税ポイント還元制度がスタートしました(実施期間2019年10月1日~2020年6月30日)。最初はバカにしていたのですが、この2日間に制度を実際に体験してみると、意外とインパクトがあります。とくに感じたのがQRコード決済の威力です。もしかしたら今回の制度をきっかけに日本でキャッシュレス決済が一気に普及するのではないかという予感を感じさせました。

私は日常のちょっとした買い物や食事などでも(iDやQuickペイなど非接触式も含めて)クレジットカードが使える店では基本的にキャッシュレス決済しています。ただ、個人商店・店舗などではクレジットカードが使えない店も多く、そういったところでは現金決済するしかありませんでした。ところが最近はPayPayなどQRコード決済だけは導入する小規模店舗が目に見えて増えています。やはり導入コストの安さが効いているのでしょう。

そして、その効果がはっきりと現れたのが今回の消費税ポイント還元制度です。それまでQRコード決済を導入している店舗でも、実際にそれを使って決済している人を見かけることはまれだったのですが、消費税ポイント還元制度が始まったと同時に、明らかにQRコード決済を使う人が増えているように感じます。

昨日、こんなことがありました。仕事で朝から同僚と外回りをしていたのですが、お昼ということで駅前の定食屋に入りました。このお店はクレジットカードが使えません。ところがレジの横にはPayPayのQRコードと「最大10%戻ってくる!」のPOPが。現在、PayPayはキャンペーンとして最大5%の還元を実施しており、これに消費税ポイント還元の5%を加えて合計10%還元になるという仕組みです。

これは使うしかないと、私はスマートフォンで「ペイペイ!」と決済。10%還元を獲得しました。ところが同僚はPayPayのアプリを入れていません。現金で消費税10%を含めた代金を支払うしかありません。店を出たと同時に、その同僚は「なんか損した気分や」とぼやいています。これを見た瞬間、これから日本でキャッシュレス決済は普及すると確信しました。

キャッシュレス決済にはいろいろとメリット、デメリットがあるのですが、やはりトータルでは便利だし、得することが多いというのは事実です。ただ、そのことを実感している日本人は、まだまだ少数派だったのです。だから、なんとなく「怖そう」「面倒くさい」といった感情が先に立ち、現金決済にこだわる人が少なくなかった。

ところか今回の消費税ポイント還元制度は、「キャッシュレス決済すれば得することがある」「現金決済だと損する場合がある」という現実を突然に可視化してしまった。いったん現実が可視化されると急に動き出すのが日本人の性格です(このあたりは行動経済学の領域かもしれません)。実際、ぼやいていた同僚はさっそくPayPayのアプリをダウンロードしていました。こうして日本でもキャッシュレス決済の普及に弾みがつくのでしょう。

もちろん、消費税ポイント還元制度は時限措置です。また、キャッシュレス決済業者による還元サービスも競合より先行してシェアを確保してしまうことを目的とした出血サービスでしょうから持続性はありません。いずれサービスは改悪されるに決まっている。しかし、人間は一度経験した「利便性」を簡単に捨てることはできません。やはりキャッシュレス決済を使い続けるに違いありません。

そう考えると、今回の消費税ポイント還元制度は、日本における決済手段の歴史でターニングポイントになるのかもしれません。そして、それもまた政府(とくに税務当局)の隠れた狙いのような気がします。かつてテレビにもよく出ていた“炎の料理人”兄弟は自宅地下室で売上伝票を燃やし、過少申告していたことを税務当局から指摘されてテレビから姿を消しました。現金決済こそ脱税の温床でもあるのです。キャッシュレス決済の普及は、こうした安易な脱税を防ぐことになるでしょう。その点でも今回の消費税ポイント還元制度は大きなインパクトを残すような気がしてきました。

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