2019年6月4日

戦いは0.1%以下の世界に―「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」が信託報酬を引き下げ



先日、ニッセイアセットマネジメントが「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」の信託報酬引き下げを発表しましたが、ライバルである三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」も予想通り対抗措置として6月25日から信託報酬を引き下げると発表しました。

業界最低水準の運用コストをめざす『eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)』信託報酬率の引き下げを実施(三菱UFJ国際投信)

この引き下げにより信託報酬は年率0.0999%以内(税抜き)となり、再び「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」と並んでカテゴリー最安値となります。まだまだこの両ファンドによる競争が続きそうです。

ニッセイ「<購入・換金手数料なし>シリーズ」が遂に先進国株式インデックスファンドの信託報酬として0.1%の壁を打ち破った衝撃も冷めやらぬうちに、「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」もすぐさま横並びに信託報酬を引き下げたことになります。これにより今後は日本での先進国株式インデックスファンドの低コスト競争も遂に0.1%未満の世界で争うことになります。個人投資家にとっては、本当に素晴らしい環境が整備されてきました。

かつて先進国株式インデックスファンドは信託報酬が1%以下で“安い!”と言われた時代がありました。私がインデックス投資を始めたのは2013年ですが、そのころでも0.6%前後が最安値の水準でした。それから5年を経て、0.1%未満にまで低下したのですから隔世の感があります。その原動力となったのが、運用会社が真正面から競争を続けたからにほかなりません。

そして、そういった競争を促した“時勢”というもの大きさも改めて実感します。個人型確定拠出年金(iDeCo)の対象者拡大や「つみたてNISA」の創設といった動きも含めて、日本人が健全に資産形成することへのニーズが高まり、その重要なツールとしてインデックスファンドの役割が認識され始めたということでしょう。国がそれを後押した効果も無視できません。インデックス投資は、まだまだマイナーな投資手法ですが、それでも少しずつですが確実に存在感を高めているのだと思います。低コスト競争というのは、そういった大きな時勢のある一面を映し出す現象なのです。

さて、引き続き「<購入・換金手数料なし>」シリーズと「eMAXIS Slim」がインデックスファンドの低コスト競争をリードすることになりそうです。同時に、両シリーズ以外にも「たわらノーロード」や「iFree」「三井住友・DC」シリーズなど他の低コストインデックスファンドシリーズにも奮起を期待したいと思います。

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