2019年2月15日

次の焦点は「資産活用層」へのアプローチ



資産倍増プロジェクトのサイトに「投資信託情報」編集長・島田知保さんのインタビューが載っていました。

「コツコツ投資家」が増えて投信積立が広がってきた一方で、「資産活用層」に対する投信の状況はまだまだ変わっていません(資産倍増プロジェクト)

さすが島田さん、投資信託をめぐる状況の変化を良くまとめています。とくに「資産活用層」へのアプローチというのは今後、業界の大きな焦点になることは間違いないと思います。

島田さんも指摘するように、ここ10年で投資信託をめぐる状況が大きく変化したのには、やはり投信ブロガーの存在が大きかったことは間違いありません。私も投資信託を使った資産形成について知るきっかけになったのは、個人ブログを通じてでした。そして、いまでは私自身がブログを書いているわけで、まさに第二世代、第三世代の投信ブロガーというわけです。

また、iDeCo(個人型確定拠出年金)の拡大や「つみたてNISA」の登場など積立投資を後押しする制度の整備が進んだことも重要です。これにより日本でも「資産形成層」のための環境整備が劇的に進みました。いまや誰もが簡単に低コストで国際分散投資できる時代になったわけです。

一方で島田さんの以下のような重要な点を指摘しています。
ここまでは、ここ数年での「変化」を見てきましたが、まだまだ変わっていないと感じることもあります。それは、「資産活用層」言い換えると、ある程度資産が積み上がった世代や、退職後の資金を取り崩していく世代に対しての投資信託のアプローチです。金融機関は相変わらず、一度に買ってもらって、それをまとめて乗り換えさせるような投資信託の売り方を続けています。また、顧客の側も、「投資信託はそういうもの」と条件づけられている人がまだメインストリームなのではないでしょうか。
おそらく今後、日本の投資業界は「資産活用層」へのアプローチをどうするのかを真剣に考えなければならなくなると思う。なぜかというと、「資産形成層」に対するアプローチは曲がりなりにも“種まき型”への転換が少しずつ進んでいる一方で、あいかわらず「資産活用層」へのアプローチは“焼畑農業型”のアプローチが横行しているからです。毎月分配型投信やラップ口座だけでなく、最近では外貨建て保険なども目立ちます。

はたしてこれら商品がリタイア層の本当のニーズに適しているのかということが厳しく問われる局面が近いうちに必ずあると思う。なぜなら、“焼畑農業型”のアプローチにはサステイナビリティがないからです。

しかし、「資産活用層」へのアプローチは「資産形成層」へのアプローチ以上に難易度が高いはずです。リタイア層のリスク許容度は、資産形成段階にある現役層のそれよりも小さいからです。つまり、より繊細で丁寧なアプローチが必要になるわけです。そこで成功することができるかどうかが今後の日本の投資業界の焦点になることになるでしょう。

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