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2018年9月3日

新興国に足を運ぶと「日本企業って、頑張ってるな」と感じる



1週間ほどタイのバンコクに出張していました。やっぱり東南アジアの国を訪れると、いろいろと元気がわいてきます。そのひとつが「日本企業って、頑張ってるな」という実感を強く持つことです。最近は個人投資家も投資信託やETF、あるいは個別株を通じて海外企業に簡単に投資できる時代になりました。それは国際分散投資という観点からは素晴らしいことなのですが、一方で安易な“日本企業オワコン論”も目立つようになりました。でも、実際に新興国に足を運ぶと、どうしてどうして、日本企業の将来にも凄い可能性を感じるのです。

タイのバンコクやインドネシアのジャカルタを訪問すると、もっとも頭を悩まされるのが交通渋滞。これが全くひどい。いったん渋滞にはまると、徒歩なら10分ほどで行ける距離を進むのに1時間近くかかったりします。イライラしてもしょうがないので鷹揚に構えて車窓からの風景でも眺めるのが東南アジアで渋滞を乗り切るコツです。そうやって道路の景色を眺めていると、驚くべきこと気づきます。路上を走る車が日本車ばかりなのです。

とくにトヨタの人気は、まったく異常なレベル。とにかく道路はトヨタ車ばかり(最近はホンダも少し増えていて、意外と三菱も見かけます)。右を向いても左を向いても日本車ばかり。後はポツポツとドイツ車を見かける程度でしょうか。そして、車の間をオートバイがすり抜けていくのですが、これもホンダ、ヤマハ、カワサキなど日本メーカーばかり。東南アジアの路上は日本企業の独壇場です。

なぜこんなことになっているのかというと、日本の自動車メーカーの東南アジア戦略が極めて成功しているからです。例えばタイやインドネシアでもっとも多く見かける日本車はトヨタ・カローラですが、日本人の知っているカローラとは少し違います。カローラ・アルティスという車種で、トヨタの東南アジア戦略車なのです。これがなかなかカッコいい。そして、その売れっぷりも凄まじい。タクシーはほとんど全車がカローラ・アルティスではないでしょうか。

なにより東南アジアでは日本企業のブランド力がまだまだ強い。トヨタなどは典型で、買い替えの際にそれまで乗っていた車を下取りに出すときの引き取り価格の下落率が他の国のメーカーより少ないのだとか。だからますますトヨタが売れるという好循環が生まれています。

自動車だけではありません。クーラーなど家電でも日本メーカーのブランド力は、まだまだ大したものです。東南アジアの大きなショッピングセンターには世界中のアパレルブランドが並んでしますが、そこでもユニクロがZARA、GAP、H&Mなどと互角の競争を繰り広げています。

こういう風景を実際に目にすると、とても一部の個人投資家が主張するような“日本企業オワコン論”を信じる気にはなれません。やはり現実の世界は、私たちが日本で想像している以上に複雑であり、一筋縄で単純化してとらえることなどできないのでしょう。

私は新興国投資大好き人間なのですが、その理由は実際に肌で新興国の空気に触れることが多いからです。そして面白いことに、新興国に足を運べば運ぶほど、日本企業の可能性も感じてしまう。「日本企業への投資も面白い」と改めて思う。

やはり旅は面白い。投資家目線で旅をすれば、日本で想像する以上に複雑な世界の実相が見えてくるような気がします。こうして私は、ある種の実感に裏打ちされる形で国際分散投資の面白さに気づかされているのかもしれません。

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