2018年6月18日

ボラティリティ上昇が今後の「基準」に―「iTrust世界株式」の2018年5月の運用成績



サテライトポートフォリオで少額だけ積み立て購入しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2018年5月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の5月の騰落率は+0.05%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+0.11%でした。5月は北朝鮮問題やイタリアの政局混乱など地政学リスクがいろいろと動いたことで相場も方向感を失った感があり、ほぼ横ばいで推移しました。こうした中、「iTrust世界株式」は前月に続いて参考指数に若干のアンダーパフォームとなっています。今後の市場動向も非常に気になるところですが、ピクテはボラティリティが上昇した状態が今後の「基準」になると指摘しています。

5月は前半こそ北朝鮮の比較かに向けた進展が期待されるなど地政学リスクが後退したことで株式相場も上昇基調で推移しました。しかし月後半には米中貿易摩擦激化への懸念やイタリアの政局混乱など不透明感が強まったことで株式も下落に転じました。業種別では情報技術が大きく上昇し、エネルギー、素材、資本財・サービスなどが市場平均を上回る上昇となる一方、電気通信サービス、金融、公益が下落し、生活必需品やヘルスケアも市場平均を下回っています。

相場のキャラクター自体は確実に変化しているのでしょうが、引き続き方向感が良く見えない展開が続いています。この点に関してピクテは「iTrust」の受益者に配信する機関投資家向けレポート「Barometer」2018年6月号で「投資環境は良好とはいえないが、パニックに陥る必要もなし」と冷静な対応を呼びかけています。株式、債券、キャッシュともにニュートラルのポジションを維持することを推奨しています。

ただし、地域別でみるとなかなか興味深い指摘もあります。まず米国株については「2018年通年の企業の利益成長率予想が足元の22%からより現実的な水準とみられる18%程度に低下するとの見方が正しいとしたら、最も割高です」と指摘。引き続き好調な企業業績が続いたとしても、金利上昇リスクと相殺されてしまうという見立てとなります。

一方、バリュエーション的に魅力があるのがユーロ圏と日本だとか。日本株については次のように分析しています。
日本経済は、輸出依存度の高いセクターの不振を受け、直近の2四半期を通じて失速していますが、株式市場についてはオーバーウェイトを維持します。バリュエーション面での魅力が高いことに加え、引き続き、日本銀行の金融緩和策の恩恵に与ることが見込まれるからです。
こうした見通しが当たるかどうかは別にして、ひとつの分析として存在することは頭の片隅に入れておいた方がよさそう。いずれにしても2017年まで続いた“適温相場”は完全に終わり、投資家にとって厳しい局面も増えてきそうです。こういした変化に対してピクテは次のようにアドバイスを送っています。
株式市場全般を通じて言えるのは、ボラティリティが上昇する状況が今後の「基準」になるということです。投資収益率が低下し、投資家にとっては厳しい状況が続くと思われます。
そうした不安定な状況下で、いかにして市場に居続けることができるか。そこでこそ個人投資家の本当の実力が試される機会が増えてくることになります。

なお、今月は「Barometer」のほかに、ピクテが投資戦略立案に使う5年先の市場見通しを紹介する「Secular Outlook」と最新のマクロ経済データ集「Global Macro Watch」も配信されました。こちらもなかなか興味深い分析とデータ集です。こうした受益者への情報提供も、私が「iTrust」シリーズを保有している理由です。

【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プラン

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