2018年6月30日

ニッセイ<購入・換金手数料なし>シリーズの6ファンドが信託報酬を引き下げ―折れない心でコスト最安値を奪還



ニッセイアセットマネジメントが超低コストインデックスファンドシリーズ<購入・換金手数料なし>シリーズのうち6ファンドの信託報酬を引き下げると発表しました。

<購入・換金手数料なし>シリーズ6ファンドの信託報酬率引下げ(投資信託約款変更)について(ニッセイアセットマネジメント)

<購入・換金手数料なし>シリーズの信託報酬が引き下げられるのは今回で4回目となります。純資産残高が増加すれば、その成果を信託報酬の引き下げという形で受益者に還元する姿勢を徹底しているところが、このシリーズが極めて良心的なインデックスファンドシリーズとして高い人気を維持している理由でしょう。最近は競合他社のファンドによる追い上げもきつくなっているのですが、それでも“折れない心”で既存の受益者の利益を尊重し、信託報酬でカテゴリー最安値の地位を奪還したことはあっぱれというほかりません。私も受益者の1人として非常に嬉しいです。

今回の信託報酬引き下げは7月13日と8月21日の2回に分けて実施されます。対象ファンドは以下の通りです(カッコ内は引き下げ後の税抜信託報酬)。

7月13日実施
<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンド(0.189%)
<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(6資産均等型)(0.159%)
8月21日実施
<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド(0.159%)
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド(0.109%)
<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)(0.159%)
<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(8資産均等型) (0.159%)

いずれも驚異的な低コストです。とくに旗艦ファンドともいえる「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」の信託報酬0.109%というのは三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」の0.1095%をさらに0.0005ポイント下回って先進国株式インデックスファンドとして業界最安値を更新しました。また「<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンド」も「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」の信託報酬を0.001ポイント下回り、カテゴリーで業界最安値を更新したことになります。そのほかの4ファンドに関しても、いずれもカテゴリー最安値となります。

今回の信託報酬引き下げの理由としてニッセイAMは「投資家の皆様のご愛顧を賜り、おかげさまでシリーズ合計で純資産総額が1,400億円を超え、市場を代表するインデックス商品に成長してまいりました。今般、投資家の皆様のご支持に応えるべくシリーズ4回目の信託報酬率の引下げを実施いたしたく存じます」と説明しています。純資産残高が増加したから信託報酬を引き下げると明確に説明していることが実に清々しい。

インデックスファンドというのは一種の装置産業ですから規模の経済が働きます。このため純資産残高が増加すれば原単位の経費が低下します。このときに信託報酬を引き下げ、純資産残高増加による利益を受益者に還元することが極めて重要になる。それこそが受益者の利益を最優先するという“フィデューシャリーデューティー”の原則に適うからです。その意味で、純資産残高増加を理由とした信託報酬の引き下げというのは、単なる営業戦略に基づく信託報酬引き下げとはまったく意味が異なる。そこには、そのファンドがどれだけ既存の受益者を大切にしているのか、どれだけフィデューシャリーデューティーを遵守しているのかという根本的な姿勢が示されているからです。

こうしたことを考えると、常にシリーズの純資産残高増加に合わせて信託報酬を引き下げてきた<購入・換金手数料なし>シリーズとニッセイAMの姿勢は素晴らしいの一言。こういうフィデューシャリーデューティーを遵守する良心的な姿勢が、このシリーズを低コストインデックスファンドの代名詞的存在にまで高めたのだと言えそうです。そして、その姿勢は競合他社や競合ファンドの追い上げが厳しくなる中でも、まったくぶれていない。これは特筆に値するでしょう。

そういえば今年1月の「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2017」で「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」が第2位に入ったとき、表彰式でニッセイAMの上原秀信常務(当時は取締役)が「ファンドが大きくなれば運用を効率化して、その利益を投資家に還元するのが立ち上げ当初からのコンセプト。今後もファンドを育ててくれた既存の受益者に(ファンド成長による)利益を返していく。ライバルファンドの低コスト化に心が折れそうになることもあるが、このコンセプトは不変」と熱く語っていたことを思い出しました。競合ファンドとの競争が厳しさを増す中で、それでも“折れない心”で信託報酬を引き下げ続け、カテゴリー最安値の地位を奪還したことは本当に素晴らしいことだと思う。そこには、既存の受益者を大切にし、フィデューシャリーデューティーを遵守するというファンドの“理念”が明瞭に感じ取れるからです。

私個人も<購入・換金手数料なし>シリーズのファンドを保有していますが、こうしたファンドの理念と行動力が明確に示されることで、受益者の1人として今後も安心して保有と購入を続けることができます。「つみたてNISA」のスタートなどでインデックスファンドへの注目は以前よりも高まっていますが、やはりニッセイAMの<購入・換金手数料なし>シリーズは、おすすめのインデックスファンドシリーズの最有力候補だと確信しました。

【関連記事】
ブランド力の意味―「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2017」の結果から見えてきたもの
運用会社は、まず"現在投資いただいているお客様"に報いなければならない

関連コンテンツ