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2018年4月23日
インデックスファンドの運用はいずれ自動化・無人化されるのではないか
先日、Twitterでインデックスファンドのコストに対してちょっとした論争が起こりました。金融機関の中の人とおぼしきアカウントが「低コスト化ばかり要求されるようでは、真っ当な運営コストを賄えなくなる」という意見です。これに対して個人投資家のサイドでは「低コストを求めるのは受益者として当然の主張。それに、必要以上に低コストだけを要求しているのではく、コスト水準の合理性に対する説明責任を果たして欲しいだけ」という声が上がりました。なんとなくかみ合わない議論だったのですが、これはそもそも金融商品の手数料というものを巡って金融機関と投資家が利益相反の関係にあることによる宿命ともいえます。ただ、こうした議論自体がもうすでに遅れているのかもしれないと思うようになりました。なぜなら今後、ITの活用によってインデックスファンドの運用は自動化・無人化され、それによってさらなるコスト構造の革新が起こるのではないかという気がしてきたからです。
なぜ私がこんなことを感じるようになったのかというと、本業の方で出入りしている企業の中にロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を導入してバックオフィス業務を自動化・省人化しているところが増えてきたからです。RPAの技術は人工知能(AI)と異なり、ルーティーンワークの処理ではすでに実用レベルに達していますから、例えば経理処理や営業事務の自動化・省人化で高い効果を上げていることを耳にするケースが増えています。
こうした動きは金融機関で顕著であり、すでに銀行業界では本格的にRPAによる業務効率化と人員削減に着手しています。こうした流れがいずれ運用部門にも及ぶのは必然でしょう。そうなると、運用業務でまっさきに自動化されるのはインデックス運用などではないでしょうか。インデックスファンドの運用は手数料が低いにもかかわらず、指数に機械的に連動させることが必要であり、何千銘柄も売買・保有しながら一切の事務ミスも許されませんから、これを正確に運営するにはじつはかなりのマンパワーを消費するのです。そうなると、いずれRPAのようなものを導入してインデックス運用を自動化・無人化してしまおうという発想が出てくるのは自然の流れだと思う。
運用が自動化・無人化すれば、恐らくインデックスファンドの運営に関するコスト体系は劇的に変化するでしょう。それが新たな低コスト革命を引き起こす可能性があると思う。なにより金融機関や運用会社に限りらず、日本企業のコスト負担で大きいのが人件費なのですから。これだけインデックスファンドの低コスト化が進み、さらなるコスト削減を進めるなら、そういった自動化・無人化による効率化を追求せざるを得なくなるのです。
今後、金融機関や運用会社で働く人の数は劇的に削減されることは避けられそうにありません。もっとも、運用業務が思ったほど自動化されず、あいかわらず人手による運営が続けられる可能性もあります。それは、金融機関や運用会社で働く人の給料が今よりも劇的に低下し、それこそRPA導入のようなシステム投資をするよりも、あいかわらず人手で処理した方がコストが安いと判断される場合です(だから、自動化・無人化は人件費の高い業種・企業ほど早く普及する)。そうなると、たしかに業界としての雇用は維持される。でも、そこで働く人にとって、それが幸せなことなのかは別の話です。