2017年11月12日

「つみたてNISA Meetup in 大阪&コツコツ大阪」に参加



11月11日に大阪で開催された金融庁と個人投資家の意見交換会「つみたてNISA Meetup in 大阪」に参加しました。今回は「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べin大阪」とのコラボ企画です。ゲスト有識者としてFPの岩城みずほさんも登場。両方とも大いに盛り上がりました。「つみたてNISA Meetup」の地方開催は名古屋に続いてとなります。やっぱり、こうやって地方にまで金融庁が直接足を伸ばしてくれるというのは、地方在住の個人投資家として嬉しいものです(写真は会場となった大阪取引所の前に立つ五代友厚像)。

イベントの前半は金融庁の今井利友課長補佐による「つみたてNISA」制度の解説。さすが回数をこなしているだけあって今井さんの説明がなめらか。配布された「つみたてNISA早わかりガイドブック」も紹介しながら、「実践的な投資教育」にも金融庁として全面的にコミットメントすることを強調しました。

また、「職場つみたてNISA」についても説明がありました。職場単位で金融機関による金融・投資教育を行い、「つみたてNISA」の普及を目指す取り組みですが、注目すべきは提供する情報は「つみたてNISA」関係だけでなく個人型確定拠出年金(iDeCo)も含まれているということ。これはすでにはっきりしていることですが、「つみたてNISA」は金融庁が所管する単発の制度ではなく、厚生労働省所管のiDeCoなどと連携して「家計の安定的な資産形成を促進する」というグランドデザインに基づいた政策の一環だということです。

その後、参加者との意見交換となったわけですが、こちらも活発な質疑応答が行われました。印象的だったのは「ジュニアNISAのように『つみたてNISA』も子供名義でできるようにして欲しい」という声に対して、今井さんが明確に否定的な回答をしたこと。わざわざ子供名義にしなくても、親の名義で資産形成をして、しかる後に子供に引き継げばよいと言うのです。しかも今井さんは「個人的にはジュニアNISAにも反対だった」とまで言う。

奇異に思われるかもしれませんが、私はこれはこれで行政として筋の通った考えだと思いました。なぜなら、そもそも子供名義で資産形成をして、その上で自分の老後資産まで形成できる世帯というのは、かなり経済的に余裕のある世帯でしょう。そうした世帯の子供に、はたして税制優遇を与えるべきなのかという問題が生じます。下手をすると一種の相続税対策として悪用される可能性もある。ただでさえ投資への税制優遇は「金持ち優遇政策」という批判を受けすいのですから、これ以上の誤解を招くような制度は好ましくないのです。

さらに会場がヒートアップしたのが、「銀行に相談に行ったら、外貨建て変額保険を勧められた」「勤務先が企業型DCを導入しているが、金融機関による説明では、結局は高コストな自社のバランス型アクティブファンドを選ぶように誘導される」と言った声が参加者から上がったときです。個人投資家が金融庁に直接、金融機関への不信感を持った経験を“通報”するという恐ろしい光景が繰り広げられたわけです。思わず私も「企業型DCで義務付けられている投資教育も、実態は酷いものだ。金融庁と厚労省が連携してもっと厳格に指導すべき」と言ってしまいました。

これこそが金融庁と個人投資家が直接対話する意義です。もはや個人投資家は金融機関にとって“大人しいカモ”ではなくなったということです。いざとなれば牙をむいて金融庁に直接駆け込む。そのための経路ができてしまったのです。今回の意見交換会には地銀を中心に金融機関関係者も多数参加していましたが、ここで見た光景の意味を真剣に考えないといけない。だから私は最後に「金融機関の人は、自分たちのやっていることが個人投資家からどのように思われているのかを真剣に考えて欲しい。その上で、もっと真摯に顧客に寄り添うべき」と言ったのです。ちなみにその後、岩城みずほさんが「銀行だけでなく保険会社も同じように考えないといけない」と指摘してくれました。

「つみたてNISA Meetup」の後は近くの居酒屋に場所を移して「コツコツ投資がコツコツ集まる夕べin大阪」です。私は今回で2回目の参加となります。



たまたまローズマリーさん、そして大阪に単身赴任中のバカオヤヂさんと一緒になり、大いに盛り上がりました。とくにバカオヤヂさんとはぜひとも大阪で飲みたかったのです。そのほか初対面のコツコツ投資家さんたちともいろいろ話をしました。なかなかレベルが高く、海外ETFはどの商品がいいのかといった話題まで飛び出す。一方で「コツコツ現金を貯めてきたので、今後はそれをコツコツと投資に回します」という初心者の方もいて、参加者は幅広いです。あと、けっこう女性が多いのも特記しておこうと思います。

ここでも金融庁の今井さんが参加し、熱心に各テーブルを回って話し込んでいました。私のテーブルに移動してきた時にはお酒の影響もあってから、一段と舌が滑らかに。面白かったのが「つみたてNISA」や金融庁について悪口ばかり書いているメディアや、不満をリークする金融機関関係者に対して金融庁がどう思っているのか忌憚のない意見を聞けたこと。その内容は書きません。というか、恐ろしくて書けません。ただ、あんまりお上をなめているとんでもないことになるとだけ言っておきましょう。

結局この日は5時間にわたって金融庁と大阪の個人投資家が語らうイベントとなりました。ただ、定員40人というのは少ないという意見もありました。すると今井さんが「次は200人規模のイベントを大阪でもやりたい」と爆弾発言。これは楽しみです。とにかく金融庁は本気で個人投資家との直接対話を望んでいるのです。そうした金融庁の「本気」に、個人投資家もぜひとも応えるべきだという思いを強くした1日でした。

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