2016年8月28日

GPIFの2016年4~6月の運用成績は5.2兆円のマイナス―分散投資の効果を発揮させるのはここから



年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2016年度第1四半期(2016年4~6月)の期間収益額は-5兆2342億円、期間収益率は-3.88%となりました。

平成28年度第1四半期運用状況(GPIF)

この期間はBrexitショックもありましたし、それよりもやはり円高による国内株式低迷と外国株式・債券の円建て価格下落が大きな影響を及ぼしたといえます。期間収益のマイナス額にばかり注目が集まっていますが、ベンチマークとの比較を見ると国内債券、国内株式、外国債券、外国株式のいずれのカテゴリーもベンチマークをアウトパフォームしているので、厳しい相場環境の中でまずます健闘した成績だったといえます。ただ、四半期ベースで2期連続のマイナス収益となったことから、再び世間の風当たりが強くなることが予想されるのですが、じつは国際分散投資においてはいまが踏ん張りどころであり、いまが分散投資の効果を発揮させるチャンスなのです。

GPIFは国内債券35%、国内株式25%、海外債券15%、海外株式25%を基本ポートフォリとして運用されています。2016年4~6月の収益を見ると国内債券がプラスだったのに対して、国内株式、外国債券、外国株式はいずれもマイナスになっています。このため6月末段階でのポートフォリオ配分は国内債券39.16%、国内株式21.06%、外国債券12.95%、外国株式21.31%、短期資産5.51%となり、基本ポートフォリオからやや乖離してきました。

ここで「国内債券で運用していれば損はしなかった。いまからでも国内債券のウエートを高めろ」と言うのは国際分散投資とは何かということを知らない一番まずい方法です。逆にここはしっかりとリバランスして、国内債券のウエートを落とし、その分を国内株式と外国債券、外国株式に振り分けることで基本ポートフォリオの配分に近づけることが大事です。

よくGPIFのような巨大な年金基金は機動的な利益確定ができないから儲からないという批判があります。たしかにそういった面はあるのですが、まったく利益確定ができないとも言えません。その役割を果たすのがリバランスなのです。つまり値上がりしている資産を減らし、値下がりしている資産を積み増すことで、結果的に「利確」「ナンピン」をしていることになる。実際に分散投資においてリバランスをした場合と、しなかった場合の収益率を比較すると、定期的にリバランスをした方が収益率が高かったというデータも存在します。いわゆる“リバランス・ボーナス”です。

だから、GPIFは国際分散投資の基本に則り、とにかく増えた資産は売る、減った資産は買うということを定期的に行っていけばいい。いちばんダメなのは、値下がりした資産を売って、値上がりした資産を買い増すことです。これは「損切り」「高値掴み」を同時にすることですから、そんなことで運用が上手くいくはずがない。そして、いま「国内債券のウエートを増やせ」と言うのは、この“損切り・高値掴み”をしろということです。しかも、国内債券のウエートを増やす場合に、新たに買い入れる国債は、ほとんどがマイナス利回りですから、満期まで保有すれば確実に損をします。

その意味で、GPIFが国際分散投資の効果を発揮させるのは、期間収益がマイナスとなったここからです。ここからどれだけ株式を安く仕込めるかが将来の収益率を左右するでしょう。そもそも現在の日本における年金運用批判というのは純粋な運用論や社会保障論からではなく、なんらかの政治的意図をもってなされるケースが多いですから、そういった“為にする議論”は無視して、GPIFにはどっしりと腰を据えた運用を進めて欲しい。同時に、積極的な情報発信も行い、少しづつでも国民の金融リテラシーを高める努力を継続するしかないのです。

【ご参考】
YouTubeのGPIF公式シャンネルに2016年度第1四半期運用状況の説明動画がアップされているので、ぜひ見てください。あいかわらず丁寧な説明が行われています。

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