ピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド、iTrust世界株式の6月次運用報告書が出たの確認したいと思います。2016年6月の騰落率は-9.71%でした。参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込)の騰落率は-9.44%でしたから、6月も参考指数を若干アンダーパフォームしたことになります。6月はBrexitショックもあって世界的に株価は大きく下げたわけですが、とくにiTrust世界株式のような大型株ファンドにとっては厳しい相場環境だったといえそうです。
あくまで一般論ですが、大型株は上昇相場で上がりやすく、下落相場ではより大きく下げる傾向があります。このため6月のようなひどい下落相場のときは、大型株ファンドは運用が厳しくなりがちです。また、月次運用報告書によると業種別での動きは以下のようになったそうです。
業種別では、エネルギーが上昇した他、公益や生活必需品、電気通信サービスなどのディフェンシブ性(景気の変動に左右されにくい特性)の高い業種が市場平均を上回りました。一 方、金融や一般消費財・サービスなどは下落率が大きくなりました。iTrust世界株式の場合、一般消費財・サービスのウエートが比較的大きいので、それが運用成績に響いたのかもしれません。また、6月末段階での組入銘柄は68銘柄となり、前月末から1銘柄減りました。前月まで組入れ比率6位だったブラックロックの名前が上位10銘柄から消えていますので、やはり金融銘柄をアンダーウエートしているのかもしれません。
いずれにしても月例で参考指数とリターンを比較するのは、あくまで参考のためです。じつはアクティブファンドこそ長期的な視点で見なければ本当に市場平均に勝ったかどうか分からない。なぜなら、市場のキャラクターは変化しますから、ときには市場平均を下回るリスクを冒してでも将来有望と考える銘柄を“仕込む”期間が必要なのです。このあたりの感覚はインデックスファンドとはまったく異なります。
ただ、iTrust世界株式にとって目下の最大の問題は、なかなか純資産が増えないことでしょう。6月末の純資産残高は0.7億円となり、基準価額下落分を差し引くと実質的に前月からほとんど変わっていません。やはりインターネット専用アクティブファンドというマイナーなカテゴリーを個人投資家に浸透させるにはまだ時間がかかりそう。販路が限られている上に、対面証券の営業力も期待できないからです。
その意味で、ちょっと期待できるのが新たにソニー銀行が販売会社に加わることです。iTrustシリーズは運用成果だけでなく、投資に関する学びの機会も付加価値として提供するところに特長がありますから、ソニー銀行のような金融機関に口座を持つ人の方が関心を抱きやすいような気がします。そのあたりはピクテ投信とソニー銀行も分かっているようで、専用のプロモーション動画まで作って気合いが入っています。
また、良い意味でも悪い意味でもピクテの性格がよくわかる会社紹介動画まで作っています。このあたりは、かなり好みの分かれるところでしょう(私個人としては、嫌いではありません)。
さて、7月に入って意外なことに相場が好転してきました。この調子がどこまで続くかわかりませんが、そろそろiTrust世界株式が謳う「厳選投資」の成果を見せて欲しいものです。受益者の一人として引き続き注目していきたいと思います。