2016年6月6日

マイナンバーカードを受け取りました―公平・公正な社会のためのインフラとして活用して欲しい



日曜日に市役所に行って、ようやくマイナンバーカードを受け取りました。申請したのが1月ですから、約半年かかったわけです。システムトラブルなどがあったとしても、やっぱり行政はのんびりしているなぁ。でも、通知カードがペラ一枚の紙製だったのに比べると、ICチップ付きのプラスチックカードは、それなりに立派です。これならなくす危険性も減りそうです。ところで、マイナンバー制度に対してはいろいろな意見があり、賛否も別れているのですが、個人的には導入もやむなしと思っています。やはり税や公的社会保障の公平性を担保するに必要なインフラだと思うからです。

総務省によると、マイナンバー制度のメリットとして以下の点が挙げられています(「マイナンバー制度について」総務省)。
国民の利便性の向上
これまで、市区町村役場、税務署、社会保険事務所など複数の機関を回って書類を入手し、提出するということがありました。マイナンバー制度の導入後は、社会保障・税関系の申請時に、課税証明書などの添付書類が削減されるなど、面倒な手続が簡単になります。また、本人や家族が受けられるサービスの情報のお知らせを受け取ることも可能になる予定です。

行政の効率化
マイナンバー制度の導入後は、国や地方公共団体等での手続で、個人番号の提示、申請書への記載などが求められます。国や地方公共団体の間で情報連携が始まると、これまで相当な時間がかかっていた情報の照合、転記等に要する時間・労力が大幅に削減され、手続が正確でスムーズになります。

公平・公正な社会の実現
国民の所得状況等が把握しやすくなり、税や社会保障の負担を不当に免れることや不正受給の防止、さらに本当に困っている方へのきめ細かな支援が可能になります。
とくに大事だと思うのが、三番目の「公平・公正な社会の実現」だと思います。じつは日本は、公平・公正ということがこれまであまりにもおざなりにされてきたからです。

例えば税負担についても、俗に“トーゴーサン”なんて言葉がある。本来払うべき税が10とすると、源泉徴収されているサラリーマンは10を支払っているのに対して、自営業者は5、農家は3しか実質的には負担していないことを揶揄した言葉です。なぜこんなことになるのかというと、自営業者や農家の所得を正確に把握しようとすると非常に手間暇がかかるので、基本的には本人からの申告に依拠するしかなかったからです。

だから、日本は脱税天国でもあります。政府だって実態は把握しているのですが、少額の脱税をいちいち摘発していては捜査費がかさんで経費倒れになるので事実上、目こぼしされている。以前、鈴木宗男さんが講演会で暴露していましたが、「昔は国税庁も1億円以上の脱税でないと動かなかった。いまは国も財政が悪いので、2000万円から捜査対象になる」そうです。マイナンバーによって所得の補足が容易になれば、もう逃げ得は許されなくなるでしょう。

社会福祉についても公平・公正が十分とは言えません。例えば所得や資産を隠した生活保護の不正受給があとを絶たない一方で、「おにぎり、食べたい」とメモを残して餓死する人がいるという現実があります。こうした本当に公的福祉の対象となる人を正確に補足するためにもマイナンバーを活用して欲しいものです。

もちろん、個人のプライバシーの尊重は大事です。その意味でマイナンバーの運用は慎重に行わなければなりません。しかし、経済活動についてプライバシーの尊重を言い立てるのは、もともと無理があるのです。なぜなら資本主義生産様式においての経済活動というのは、ずべて社会化された分業であるから、それは私的領域には存在しない。経済活動は基本的に交換形態をとりますが、交換は私的領域の外部にある“市場”で行われる。そこにプライバシーはありませんし(私的領域ではないのだから当然です)、もっとも重要になるのは公開性であり、それによってもたらされる公平・公正だからです。

最近、パナマ文書などが問題になっていますが、これなども本来は公開されるべき経済活動を疑似的な私的領域に隠蔽しているのではないかという疑念が、公平・公正を欠くとの印象を抱かせたのです。そういった疑念をなくすためにも、マイナンバー制度のようなインフラがいるなのだと割り切ることが必要なのでしょう。

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