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2016年4月21日
ステート・ストリートが超低コストのインデックスファンドを設定へ―外資系運用会社は「じつにいいタイミングでいいポイントを突く」
Garrett A. Wollman - The Archives @ BostonRadio.org
まるでEDINETウオッチャーとしか思えない素早さで投資信託の新規設定情報を発信してくれるアウター・ガイさんから、スゴイ情報が流れてきました。すでにいくつものブログで紹介しされていますが、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが超低コストのインデックスファンド8本を5月9日に新規設定します。
ステート・ストリートが超低コストインデックスファンド8本を設定(バリュー・トラスト)
いずれも信託報酬は最安値となっており、驚きの低コストです。とくに新興国株式に投資するファンドは、ついに信託報酬が年0.2%台にまで低下しており、まさに異次元に突入です。いよいよインデックスファンドの低コスト競争も最終段階に入った感さえある。しかも、ステート・ストリートという外資系運用会社が参戦してきたというのが唸らされる。「じつにいいタイミングでいいポイントを突く」と言わざるを得ません。
今回、新規設定されるインデックスファンドは以下の8本です(信託報酬は税抜、ベンチマークは円ベース)。
ステート・ストリート日本株式インデックス・オープン
ベンチマーク:TOPIX(配当込)
信託報酬:0.18%
ステート・ストリート日本債券インデックス・オープン
ベンチマーク:NOMURA-BPI総合
信託報酬:0.14%
ステート・ストリート先進国株式インデックス・オープン
ベンチマーク:MSCI-KOKUSAI
信託報酬:0.21%
ステート・ストリート先進国株式インデックス・オープン(為替ヘッジあり)
ベンチマーク:MSCI-KOKUSAI
信託報酬:0.22%
ステート・ストリート先進国債券インデックス・オープン
ベンチマーク:シティ世界国債インデックス(除く日本)
信託報酬:0.19%
ステート・ストリート先進国債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり)
ベンチマーク:シティ世界国債インデックス(除く日本)
信託報酬:0.2%
ステート・ストリート新興国株式インデックス・オープン
ベンチマーク:MSCIエマージング・マーケット・インデックス
信託報酬:0.29%
ステート・ストリート新興国債券インデックス・オープン
ベンチマーク:バークレイズ・エマージング・マーケッツ・ローカル・カレンシー・リキッド・ガバメント・インデックス
信託報酬:0.62%
新興国債券ファンド以外は、いずれも各アセットカテゴリーで既存ファンドを下回る信託報酬というのが驚き。とくに新興国株式ファンドは、ついに0.2%台に突入しており、アウター・ガイさん同様、私も誤植ではないかと目を疑いました。なにしろ、これまで信託報酬最安値だった「たわらノーロード新興国株式」の信託報酬が0.495%でしたから、まさに異次元に突入です。
また、先進国株式と先進国債券のファンドには為替ヘッジありが用意されているのも特徴。海外資産に投資したいけど、為替リスクは抑えたいというニーズは意外とありますから、それがこの低コストで提供されるというのも素晴らしい。新興国債券ファンドはETFを使って運用するようですが、ベンチマークが一般的なJPモルガンGBI-EMグローバル・ダイバーシファイドではない点がユニークです。
これだけ低コストなファンドがそろうと、これからのインデックスファンド選びはステート・ストリートの一択といっても過言ではないレベルです。ただ、現時点では販売会社が三井住友信託銀行のみとなっているので、だれでもすぐに乗り換えるというわけにはいかなさそう。ユニークで低コストなインデックスファンドといえども販路が限定されると資産残高が伸びずに存在感をまったく発揮できないというのは、ブラックロックがi-mizuhoシリーズの販路を最初、みずほ銀行とみずほ証券に限定してしまった失敗を思いださせます。そのあたりを踏まえ、ステート・ストリートには、ぜひネット証券でもこのシリーズを販売して欲しいと思います。
しかし、インデックスファンドの低コスト競争もニッセイアセットマネジメントの<購入・換金手数料なし>シリーズやDIAMアセットマネジメントの「たわらノーロード」シリーズの登場で最終決戦かなと思っていたのですが、思わぬ伏兵の登場です。ステート・ストリートは米国を代表する信託・運用会社であり、「SPDR S&P500ETF」など巨大ETFを運用する会社としても有名ですが、まさかそのステート・ストリートが日本でインデックスファンドの低コスト競争に参入してくるなど想像もしていませんでした。
しかも、競争への参入の仕方がど真ん中に豪速球です。日本株式(しかもTOPIX)、日本債券、先進国株式、先進国債券、新興国株式という主要資産カテゴリーすべてで最安値となる信託報酬をぶつけてきた。ほとほと感心しました。やはり彼らはプロなので、インデックスファンドの分野で競争するためには、何が必要なのかを知り尽くしている。中途半端な戦術でお茶を濁すようなことはしない。やる以上は、トップを目指すという強烈な意気込みを感じます。
やっぱり資産運用の本場である欧米の運用会社というのは大したものです。これはピクテ投信投資顧問が「iTrust」シリーズによって低コストアクティブファンドという分野に参入してきたときにも感じましたが、今後の日本の運用商品市場で何が付加価値になり、どのタイミングで参入することが競争の勝敗を決するのかということがよくわかっている。おもわず「じつにいいタイミングでいいポイントを突く」と言いたくなります。
そういうわけで、ステート・ストリートの新たなインデックスファンドには期待大。販売会社の状況や資産残高の推移についてはしばらく様子を見る必要がありますが、そういった問題がクリアされれば、全面的に乗り換えてやろうかと思ってしまいました。本当に期待大です。