2015年8月24日

DC専用ファンドの市販開放で低コスト競争は新たな段階に入るか

三井住友アセットマネジメントが確定拠出年金(DC)専用ファンドだった三井住友・DC年金日本債券インデックス・ファンドのの名称を三井住友・日本債券インデックス・ファンドに変更し、一般にも販売を開放したそうです。すでにSMBC日興証券で販売も始まっているとか(kenzさんのブログで知りました)。

三井住友・日本債券インデックス・ファンド(信託報酬0.16%)がDC専用をやめ一般購入可能に
(インデックス投資日記@川崎)

信託報酬0.16%(税抜)というのは一般販売されている低コストインデックスファンドシリーズと比べてもケタ違いの安さです。低コストなDC専用ファンドを市販に開放するという方法は、インデックスファンドの低コスト競争における荒業として以前から存在していたのですが、メガバンク系列の三井住友AMがこうした方法に踏み出したことで、今後の影響が気になるところ。もしかしたら、インデックスファンドシリーズのコスト競争は新たな段階に入る可能性があります。

今回、一般販売が開放された三井住友・日本債券インデックス・ファンドは、NOMURA-BPI(総合)をベンチマークとする日本債券インデックスファンドです。なんといっても驚くのは、その低コスト。信託報酬は0.16%(税抜)です。従来、市販されていた日本債券インデックスファンドは、ニッセイ・アセットマネジメントの<購入・換金手数料なし>ニッセイ国内債券インデックスファンド(信託報酬0.31%)がコスト最安でしたから、三井住友・日本債券インデックス・ファンドはほぼ半額の信託報酬となり、圧倒的なコスト競争力を持つことになります。

もともとDC専用ファンドに極めて低コストなファンドが存在することは、インデックス投資家の間で有名でした。そして、これを市販開放することで圧倒的な低コストを実現したファンドにニッセイAMのニッセイ日経225インデックスファンド(信託報酬税抜0.25%)があります。現在、日経平均株価に連動するインデックスファンドでは、ニッセイ日経225インデックスファンドが、ほぼ独壇場に近い支持を集めていますから、DC専用ファンドを市販開放するという方法が、どれほど強力かわかります。

今回、三井住友AMがDC専用ファンドの市販開放に踏み切ったことで、今後の展開が大いに気になるところです。いまのところ販売会社はSMBC日興証券だけですが、これがほかの販売会社にまで広がると、おそらく圧倒的な競争力を持つようになるでしょう。また、日本債券インデックス・ファンドだけでなく、日本株式や外国株式に投資する低コストなDC専用ファンドまで一般に開放するようなことになれば、そのインパクトは計り知れません。

もちろん、販売会社からすれば口座管理手数料を徴収できるDCと違い、市販でこれだけ低コストなファンドを販売するのは営業的なメリットが少なく、そんなに簡単に販売会社が増えるとは思えません。だから、いまのところ三井住友・日本債券インデックス・ファンドも同じSMBC系列のSMBC日興証券だけでの販売になっているのでしょう。ただ、三井住友AMは直販という販路も持っていますから、もしかしたら直販でほかのDC専用ファンドを含めて開放するようなこともありえるかもしれません(実際に現在、三井住友AMが直販しているファンドは、いずれももともとはDC専用でした)。

DC専用ファンドの市販開放という荒業とはいえ、ここまで低コストなファンドが登場したことで、ほかの有力インデックスファンドシリーズへの影響も期待したいところです。現在、市販されている低コストなインデックスファンドシリーズとしては三井住友トラスト・アセットマネジメントのSMTシリーズと三菱UFJ国際投信のeMAXISシリーズが2大ブランドとして先行しているわけですが、最近ではニッセイAMの<購入・換金手数料なし>シリーズの猛追撃を受け、少なくともコスト競争力の面では優位性を失いつつあります。ここに、さらにケタ違いに低コストなDC専用ファンドの市販開放といった動きが加われば、さすがに2大ブランドといえども営業面への打撃は深刻になるかもしれません。

そういう意味では、そろそろSMTとeMAXISにはコスト体系の見直しに着手して欲しいところです。すでに両シリーズともシリーズ全体の純資産残高が2,000億円に迫ろうとしているわけですから、コスト引き下げの余地が少しずつですが生まれているはず。また、両シリーズとも委託会社(運用会社)と、受託会社(信託銀行)が同じ金融グループなのですから、グループ内の調整だけで信託報酬の引き下げが可能ではないでしょうか。少なくとも、そういった可能性を示すことで委託会社と受託会社が同じ系列企業であることが受益者に対する利益相反になっていないことを証明することになり、フィデューシャリー・デューティーの観点からも意味があると思います。

そういったことも含めて、今回の三井住友AMによるDC専用ファンド開放という動きに今後も注目していきたい思います。
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