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2015年8月5日

『経済大国インドネシア』-東南アジア投資への自信を深めてくれる1冊



インドネシア・ジャカルタからのブログ更新です。約半年ぶりにジャカルタを訪れましたが、あいかわらず街中でビル建設が進められ、道路は自動車であふれています。これでも景気は踊り場ということで、現地ではけっこう危機感が高まっているのですから日本人からすれば贅沢な悩みに思えます。日本食レストランなどにいくと、数年前は客のほとんどが日本人駐在員・出張者でしたが、いまではインドネシア人ビジネスマン・OLであふれかえっています。日本食、けっこう高いんですよ。それでもこれだけ現地の人が来るということは、それだけ所得が上昇しているということです。さて、そんなインドネシアの可能性をよく伝えてくれる1冊が佐藤百合さんの経済大国インドネシア - 21世紀の成長条件 (中公新書)です。私はインドネシアなど東南アジアへの投資を重視したポートフォリオを組んでいるのですが、本書は実際にインドネシアを訪問している人なら実感として納得できる内容であり、東南アジア投資に対する自信を深めてくれる1冊です。

インドネシアといえば、かつてはスハルト独裁とその崩壊による混乱などで停滞を続けていたわけですが、2004年にユドヨノ政権は発足して以来、民主主義体制の確立によって経済成長の前提条件が整備されたといえます。本書が指摘するように、政治的安定を得たインドネシアは2030年にかけて生産年齢人口が総人口に占める割合(生産年齢人口比率)が上昇し、経済成長が促進される人口ボーナス効果が最も大きくなる時期となります。

そのほかにも資源からさまざまなセクターの産業を同時に発展させるフルセット主義の経済政策が有効な地理的条件やインフラが整備されつつあることなどを丁寧にまとめてくれています。こうした指摘は、実際にインドネシアでビジネスを行った経験のあるひとなら、かなりの部分が実感的に納得できるのではないでしょうか。

もちろん、課題もあります。相変わらず汚職など腐敗が多く、縁故主義の弊害も少なくありせん。こうしたハードルをどうやってクリアしていくかが、今後の経済成長のカギを握ります。本書は、こうしたインドネシアの課題にも真正面から記述しており、冷静でありながら愛情あふれる筆致も魅力的です。

インドネシアだけでなくマレーシアやタイ、シンガポールといった東南アジア諸国の経済的ポテンシャルというのは、日本人が想像している以上に大きなものがあります。これは実際に現地を訪問すれば実感できること。そんなわけで私は新興国投資の中でも、とくに東南アジア株式のウエートを大きくするポートフォリオを組んできました。そうした投資戦略に自信を持たせてくれる1冊が本書だといえます。

ところで、東南アジア株式に分散投資できる投資信託は、かつては高コストなアクティブファンドしかなかったですが、最近ではi-mizuho東南アジア株式インデックスがあります。みずほFGのNISA囲い込み用ファンドとして設定されたため、みずほ銀行とみずほ証券でしか販売されていませんでしたので、私はわざわざみずほ銀行に口座を開設してスポットで購入していました。しかし、ここにきてようやく運用会社であるブラックロックも販売戦略を転換し、カブドットコム証券、楽天証券、そしてSBI証券での販売が開始されました。運用期間が2028年5月2日までという問題はあるのですが、それでも東南アジア株式に低コストで分散投資できる貴重なファンドです。販売会社の拡大に合わせて、こちらにも期待したいと思います。
(ブラックロックさん、みずほFGなんかもう無視して、運用期間を無期限化してください。)

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