2015年3月11日

「売り」を放棄すれば投資が楽になる

ノーロード投資信託の管理人さんがリツイートで紹介してくれたおかげで昨日のエントリー「個別株は永久保有だ」のページビューがものすごく増えていたのでびっくりしています。そこでちょっと補足しておきます。これもあくまで個人的な考えなので、投資一般論からは外れると思いますが。投資は通常、何かを買えばばどこかで「売る」わけですが、「売り」を放棄してしまえば、投資はじつに楽なものになるということです。

よく投資の基本は「安く買って、高く売る」といわれますが、これはたしかに真理です。しかし、こうした考え方を前提とする限り、つねに保有資産の価格が「高い」のか「安い」のかということを気にしなければなりません。つまり、いつか「売る」ということを前提とするかぎり株価にしろ投信の基準価格にしろ、値段が気になるわけです。

でも、もし「売る」という行為を完全に放棄すれどうなるでしょうか。その瞬間に現在の価格は問題にならなくなります。含み損があっても、しょせん含み損であって、確定された損ではなくなる。そして仮に永久に売らなければ、損も永久に確定しません。永久に損しないことになります。すると一気に気分が楽になります。これこそ私が考える究極の長期投資戦略です。

そして、この戦略が可能なのが個別株です。倒産リスクをとりあえず置いておくとして、個別株は永久に売らなければ、永久に損もしない。もっとも売らなければ、利益も永久に得られないことになります。しかし、株には配当がある。すると個別株は売らない限り損をせずに配当という形で利益だけ継続して得ることができると。これがすごいことです。

投資信託は、こうはいきません。まず保有コストが大きくなってしまう。投信を永久に保有すれば信託報酬も永久に払わなければなりません。これはETFも同じであり、買付手数料以外は一切保有コストがかからない個別株とは大きく異なります。それと良心的なインデックスファンドなどは、分配金があまり出ません。資産形成という面では、これは複利効果を最大化できますから素晴らしいことなのですが、逆にいうと、こういったファンドは、やはりいつか「売る」ことを前提にしています。売らなければ利益を確定できないからです(その意味では利益の分配が義務付けられているETFの方が永久保有には向いた商品です)。

こういう風に考えると、個別株を永久保有するのは絶対に損をせずにリターンだけを得ることができる可能性があると。もちろん、これはあくまで思考実験ですから、現実はまったく別です。まず倒産リスクを完全に回避することが不可能ですし、配当も減配や無配となる可能性を排除することができないからです。ただし、倒産さえしなければ、「売らない」ことで損を確定させないことはできる。ここが個別株の面白いところです。

そういえば鳩山由紀夫元首相の資産はほとんどがブリヂストンの株ですが、彼は株価がどうなろうとも絶対に売らないでしょう。鳩山家として売らないはずです。だからブリジストンが倒産しない限り、鳩山家はずっとお金持ちです。そして毎年、すごい金額の配当を得ています。うらやましいですね(将来的にはすごい額の相続税がかかりますが)。

庶民がこういった投資方法を実践するのは意味があるのかという疑問もあるでしょう。庶民が保有できる株式の総額などしれたものですから、配当収入といってもわずかだからです。でも、塵も積もれば山となるで、長期にわたると結構な金額になるのも事実。例えば私は生まれたときから関西電力の株を保有しているのですが、さすがに保有期間が40年近くなると、配当だけで累計金額はすごいことになっています。これは実体験ですが、配当振込口座にたまった資金だけで別の銘柄を買えたりしました。

でも、大きな含み損を抱えたままでは心理的に耐えられない、あるいは投資計画に支障が生じるという考え方もあるでしょう。しかし、それはそもそもが自分のリスク許容度を超えた金額を投資してしまっているからでは。リスク許容度の範囲内なら、含み損があってもせいぜいブツブツ文句を言うぐらいで塩漬けできるはずですから。

そういえば以前、澤上篤人さんがブログ「たっぷりと買い仕込んだら、後は相場など忘れて旅にでも出ればよい。もちろん、自分の仕事に精を出すのが一番である。これを、Buy and Hold さらには Buy and Forget といって、株式投資の基本とされる」と書いていました。まったく同感です。

こんなわけで、引き続き個別株投資については“Buy and Forget”の精神で続けようと思います。
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