SBI証券のオリジナルプランで拠出している個人型確定拠出年金(iDeCo)の6月買付(2026年5月拠出分)の定例報告です。株式相場の堅調が続いていることで、損益率は過去最高を更新しました。ところでiDeCoは老後資金を準備する有力な制度ですが、一方で課題もあります。その一つが、制度の運営を担う国民基金連合会(国基連)の情報発信がやや弱いという点です。
SBI証券のiDeCoオリジナルプランで買付けたファンド・商品は以下の通りです(カッコ内は信託報酬)。いつも通りのポートフォリオとなっています。
【個人型確定拠出年金(SBI証券iDeCoオリジナルプラン)】
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド」(0.16%)
「DCニッセイ外国株式インデックス」(0.09889%)
「EXE-i新興国株式ファンド」(0.086%+投資対象ETF信託報酬0.07%程度)
「EXE-i全世界中小型株式ファンド」(0.17%+投資対象ETF信託報酬0.058%程度)
「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(0.14%)
「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」(0.34%)
「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」(0.27%以内)
「あおぞらDC定期」
iDeCo口座の評価額は6月27日段階で累積損益率が+120.5%となり、またも過去最高となりました。日経平均株価も7万円を超えるなど、日本株もそれこそ私がiDeCoへの拠出を始めた2013年当時には考えられなかった水準にまで切り上がっています。一方、長らく続いたデフレも過去のものとなり、日本もようやくインフレ社会が到来したようです。こうなると、ますますインフレ耐性が高い資産である株式で資産運用することの重要性が高まっているといるでしょう。その点でもiDeCoは有効な制度だと言えます。
ところでインフレといえば、その余波がiDeCoの手数料にも及び始めました。SBI証券のiDeCoは、運用管理金融機関であるSBI証券に支払う手数料はゼロなのですが、国基連への事務手数料が拠出ごとに105円、信託銀行に支払う事務委託手数料が同66円かかります。このうち、国基連の事務手数料が2027年1月から毎月120円に引き上げられることになりました。
iDeCo加入者に係る手数料を見直します(iDeCo公式サイト)
見直しのうち、従来の年単位拠出の場合は拠出ごとに手数料がかかる仕組みから、加入期間の月数を乗じて得た額に変更になるとというのは仕方ありません。そもそも年単位拠出を選択し、手数料を節約する方法は本来は給料天引きで毎月拠出を基本とする制度趣旨の隙間を狙ったハック術であり、公平性に欠けますから、いずれその穴は塞がれて当然だったからです。一方、手数料引き上げの理由として「物価・人件費の上昇」を挙げていることが気になりました。そもそもiDeCoの加入者は大幅に増えていますから、手数料収入も増加しているはず。普通なら規模の経済は働き、加入者1人当たりコストは低下しているはずです。それなのに単に「物価・人件費の上昇」だけを理由に手数料を引き上げるというのは、やや説明不足な気がしました。
そこで国金連の決算を確認してみました。現在、令和6年度(2024年4月~2015年3月)までウェブサイトに公開されています。
令和6年度 国民年金基金連合会決算 (国基連)
損益計算書の「確定拠出年金事業経理会計」を見ると、収入は手数料収入約56億円と雑収入約4億円の合計約60億円に対して、支出は事業事務費約33億円、事業委託費約18億円、基本金繰入(固定資産に計上する設備投資費用など)約約16億円、雑支出約10億円となり、支出合計約76億円です。このため約16億円の不足金が発生しています。なかなか厳しい収益状況です。
ここで気になるのが基本金繰入と雑支出の多さ。そこで令和6年度国民年金基金連合会予算を見てみると、基本金繰入となる固定資産計上の大部分はソフトウェア費用であり、雑支出はほとんどが借入金返済だということが分かります。結局、企業型も含めて確定拠出年金制度を立ち上げた際のシステム投資など初期投資が大きく、その後もシステム更新などの保全費用がかさんでいるのに対して、加入者数が長らく伸び悩んだことで不採算の状態も続き、現在でも借入金に頼った財務状態にあるということです。さらに令和8年度予算を見ると、ソフトウェア関連の固定資産計上は約60億円とさらに増加し、基本金繰入は約25億円と大幅増加しています。このため確定拠出年金事業経理会計は加入者の増加にもかかわらず、ますます厳しくなっています。この点に関して日経新聞は次のように伝えています。
近年は運営を借入金に頼る状況が続く。制度改正に伴うシステム更新や手続きの電子化などに費用を要していた。借入金は26年度末に72億円となる見通しで、手数料の引き上げ分を返済にあてる。(iDeCo拠出時の手数料、1回105円→月120円に 27年1月納入分から〈日本経済新聞〉)
ここまで理解すれば、今回の手数料引き上げもやむなしと思えるのですが、やはり気になるのが国基連の姿勢です。「物価・人件費の上昇」などと言った簡単な文言ではなく、もっと丁寧に説明すべきでは。そうすれば、もう加入者の納得感ももう少し高まったことでしょう。その上で、さらなる効率的運営に向けてどのような手を打つのかなどにも説明して欲しいものです。ちなみに日経新聞の記事に対して、竹川美奈子さんが次のようにコメントしています。
今回の引き上げの理由として物価・人件費の上昇を挙げていますが、国基連全体としてより効率的な運営を行うことが大前提ですし、決定プロセスについても加入者への適切な情報開示が必要だと感じます。
まったくその通りだと思います。加入者も馬鹿ではないので、なにもむやみやたらに値上げに反対するわけではありません。ただ、きちんと説明することで納得も得心もした上で拠出を続けたい。ただそれだけです。ぜひ国基連には、しっかりと考えて欲しいと思います。
