サテライトポートフォリオで積立投資している「ひふみ投信」の2026年5月次運用報告書が出ていたので定例ウオッチです。5月の騰落率は+4.6%、参考指数であるTOPIX(配当込み)の騰落率は+6.24%でした。純資産残高は5月29日段階で2209億円(前月は2120億円)、ひふみマザーファンドの純資産残高は1兆1415億円(前月は1兆909億円)となりました。さて、創業者としてこれまで「ひふみ投信」を率いてきた藤野英人さんが、6月15日付で退任しました。「ひふみ投信」にとって、ひとつの時代が終わったと感じます。
5月はAI関連株への物色が進み、日経平均株価もTOPIXも大幅に上昇しました。ただ、AI関連以外の銘柄はまだら模様。「ひふみ投信」もAI関連株への投資を進めていますが、同時により広範囲な業種や銘柄にも分散投資しているため、参考指数に劣後しています。現在の相場は特定銘柄が市場を牽引する状態のため、なかなかアクティブファンドが勝ちにくい展開といえそうです。
さて、これまで「ひふみ投信」を率いてきた藤野さんの退任という大きな動きがあったわけですが、理由に関してレオス・キャピタルワークスからリリースが出ています。
当社の新体制に関するお知らせ(レオス・キャピタルワークス)
これによると、当初は藤野さんも取締役(ひふみ統括アドバイザー)として重任される予定だったのですが、藤野さん自身から「資本市場の枠組みに留まらず、日本発のIPをグローバルに展開するアニメーション事業の創出や、次世代の起業家・投資家の育成を担うスタートアップ支援など、より広範な社会的価値の創造に専念したい」との要望があり、今回の退任とのこと。
藤野さんには、いろいろと思い出があります。初めてお会いしたのは、2015年に奈良で行われた草食投資隊セミナーだったと思います。セミナー後の懇親会でたまたま藤野さんの隣の席に座ることができ、いろいろと意見交換したことを思い出します(草食投資隊セミナーin奈良に参加しました)。これがきっかけとなり「ひふみ投信」を保有することになり、その後も関西で開催された運用報告会などに参加し、その度にいろいろと話をする機会がありました。
あらためて思いかえすと、藤野さんが立派だったのはいつも正しく“キレイゴト”を言い続けたことだと思います。つまり、投資とは企業活動への応援を通じた社会貢献であり、それこそが資本主義社会における自立した市民の役割だということを主張し続けてきたのです。日本では株式投資に対する社会の偏見が根強い反動もあって、投資家の側もえてして投資に対して露悪的に振る舞いがち。そんな中で、ナイーブにも思えるような“キレイゴト”を言い続けることは貴重であり、大きな批評性がある。私が「ひふみ投信」を保有することを決めたのも、そういった藤野さんの批評性が非常に面白かったからでした。
そういえば、初めて藤野さんに会った2015年の日系平均株価は1万5000円程度でした。当時も“日本株オワコン論”が猖獗を極めていたのですが、藤野さんは「日本悲観論を唱えるのは自由だが、その日本を良くするのは日本人しかいない」と話していました。そして現在、日経平均株価は7万円を超えています。露悪的な“日本株オワコン論”と、藤野さんが主張していた“キレイゴト”、どちらが正しかったかは明白です。
「ひふみ投信」から退くにあたって、藤野さんは「1990年より、35年にわたる運用・調査人生を歩んでまいりました。バブル崩壊、ITバブル、リーマン・ショック、コロナショック----。幾度もの嵐を経験するたびに、「企業の本質的な価値は、短期的な価格の揺れとは別のところにある」 という確信を深めてきました」とのメッセージを残しています。いまも“キレイゴト”を言い続けている藤野さんの姿に、やはり好もしいものを感じます。新天地でもこれまでと変わらず“キレイゴト”を言い続け、邁進して欲しいと思います。
