2022年7月20日

「EXE-i」シリーズの第9期運用報告書を読む―中小型株投資には貴重な存在

 

SBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)オリジナルプランで積立投資しているパッシブ型ファンド「EXE-i」シリーズの第9期(2021年5月13日~2022年5月12日)運用報告書が出ました。さっそく自分が購入している「EXE-i新興国株式ファンド」と「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」の運用報告書を確認します(その他のファンドについては公式の特別サイトを直接確認してください)。

SBIアセットマネジメント「EXE-i」シリーズは複数の海外ETFに投資するファンド・オブ・ETFsのパッシブ型ファンドです。純粋なインデックスファンドではありませんが、海外ETFを活用することで低コストなパッシブン運用を可能にしたファンドとして愛用しています。

まず、「EXE-i新興国株式ファンド」の第9期の騰落率は-5.5%でした。参考指標であるFTSE・エマージング・インデックスの騰落率は-2.9%です。「EXE-i」シリーズの各ファンドとも保有するETFのベンチマークと参考指標の指数が若干異なりるため、あくまで参考値となります。投資対象ETFは「バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF」と「SPDRポートフォリオ・新興国株式ETF」です。韓国株の比率などが参考指標と大きく異なるため、やや参考指数から乖離した騰落率となりました。また、市場環境も中国の不動産危機や各国中央銀行による金融引き締めの開始によって、新興国株にとって厳しい1年でした。

運用報告書の費用明細上の実質コストは以下のようになりました(FoETFsのため信託報酬以外に投資対象ETFの信託報酬がかかります。投資対象ETFのコストは運用報告書の参考情報からとりました)。

「EXE-i新興国株式ファンド」
信託報酬:0.253%
売買委託手数料:0.005%
有価証券取引税:0%
その他(保管、監査)費用:0.012%
合計:0.27%
投資対象ETF信託報酬:0.11%
実質コスト合計:0.38%

前年と同じ実質コストとなっています。新興国への投資は現地の資本規制や税制の関係でどうしても実質コスト割高になりやすい中で、0.38%というのは十分に合格点となるコスト水準です。

つづいて「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」の第9期の騰落率は-1.5%でした。参考指標であるFTSEグローバルスモール・キャップインデックスの騰落率は-1.2%です。投資対象ETFは「バンガード・スモールキャップETF」と「バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)スモールキャップETF」です。こちらはおおむね参考指標に近い数字となっています。中小型株は景気敏感銘柄多いこともあり、やはり各国中央銀行による金融引き締めやロシアによるウクライナ侵攻、中国のロックダウンなどによる景気後退懸念の影響を受けました。

運用報告書の費用明細上の実質コストは以下のようになっています。

「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」
信託報酬:0.253%
売買委託手数料:0.007%
有価証券取引税:0%
その他(保管、監査)費用:0.013%
合計:0.273%
投資対象ETF信託報酬:0.07%
実質コスト合計:0.343%

第8期の実質コスト合計は0.345%でしたから、若干の低下となります。世界の中小型株に低コストで分散投資できるパッシブファンドは比較的少ないので、依然として「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」は貴重な存在です。私はiDeCoのポートフォリオのスパイスとして愛用しています。

最近はインデックスファンドの低コスト化が進んだことで「EXE-i」シリーズのコスト面での優位性は弱まりました。しかし、SBI証券のiDeCo(とくにオリジナルプラン)を使っている人にとっては依然として重要な役割を担うファンドです。とくに「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」は、世界の中小型株に低コストで投資したい人にとって貴重なファンドです。受益者として、引き続き期待したいと思います。

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