2022年2月22日

中高年になったらスイッチングの練習を―2022年2月の個人型確定拠出年金(iDeCo)積立と運用成績

 

SBI証券で運用している個人型確定拠出年金(iDeCo)の2月の買付(1月拠出分)が約定しました。ここにきて世界的に株式市場は不安定なのですが、昨年末にスイッチングを指図していたことが功を奏し、比較的安定した運用が続いています。スイッチングの際に課税コストが一切かからないのがiDeCoの最大の強みのひとつです。とくに中高年に差し掛かった人は、iDeCo口座でのスイッチングを練習しておくことをお勧めします。

SBI証券のiDeCoオリジナルプランで買付けたファンド・商品は以下の通りです(カッコ内は信託報酬)。いつも通りのポートフォリオとなっています。

【個人型確定拠出年金(SBI証券iDeCoオリジナルプラン)】
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド」(0.16%)
「DCニッセイ外国株式インデックス」(0.189%)
「EXE-i新興国株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.1095%程度)
「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.075%程度)
「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(0.14%)
「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」(0.34%)
「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」(0.27%以内)
「あおぞらDC定期」

累積損益率は2月20日段階で+37.1%となりました。最近の株価下落で過去最高水準からは低下が続いていますが、それでも比較的安定した状態が続いています。先月に基本ポートフォリオ配分からかなりオーバーウエートになっていた先進国株式インデックスファンドを一部売却し、定期預金へのスイッチングを指図していました。いまのところ、このスイッチングが成功したと言えそうです。こうしたスイッチングが自由にできるところがiDeCoの最大の強みです。この点に関して確定拠出年金アナリストの大江加代さんが面白い記事を書いていました。


iDeCoの課税繰り延べ効果など分かりやすく説明してくれていますが、とくに後半のスイッチングの意義についての説明は非常にポイントを押さえているでしょう。相場が好調な時はポートフォリオの株式のウエートはどんどん増えていきますが、そういった時こそリスク過剰にならないように資産配分のリバランスが必要。それを課税コストをかけずに実践できるのがiDeCoの強みです。

また、iDeCoのように原則として運用期間が限定されている税制優遇口座は、運用期間の終盤にはリスク量を下げることで、運用の最終盤に暴落を食らって資産を大きく減らすという失敗を避けなければなりません。ですから、20代から40代にかけては株式100%の運用でもいいのですが、50代に入れば徐々に定期預金などのウエートを増やして守りの運用に切り替える必要があります。そのためスイッチングが必要なのですが、これがなかなか“言うは易し、行うは難し”なのです。そこには「いま売ってもいいのだろうか」という心の迷いが生じるからです。そこで、ひとつの演習として利用できるのがiDeCoです。大江さん次のように書いています。
実はこの経験を通じて学んでいただきたいことはもう一つあって、売買する際の自分の心の葛藤です。今日売った方がいいか、明日の方が少し高く売れるのではないか、そんな心の迷いを振り切って注文するという練習にもなるからです。
こうした心の葛藤を乗り越える経験を、それこそ中高年になればやっておくべきでしょう。いくら長期投資といっても個人が運用できる期間は有限。それこそケインズが言うように「長期的には我々はみな死んでいる」というのが現実なのですから。年齢とともに徐々にポートフォリオのリスクを下げていく。なんとも地味な作業ですが、これこそ投資の出口戦略の基本なのです。その実地訓練としてiDeCoはうってつけなのです。

ところで大江加代さんによるじつに簡便で実践的なiDeCo解説書『最強の老後資産づくり iDeCoのトリセツ 2022年施行 法改正完全対応版』がこのほど刊行されました。これは制度の説明から運営管理金融機関の選び方、さらには資料の請求方法や書類の記入方法まで懇切丁寧に説明してくれる文字通り“iDeCoのトリセツ(取扱説明書)”です。iDeCoに関して全くの初心者でも、これを読めば加入手続きのハードルを大いに引き下げてくれるでしょう。関心のある方は一読してみてください。

 

 【ご参考】
iDeCoに加入する場合、金融機関によって手数料や商品ラインアップが異なることに注意が必要です。現在、iDeCoプランの選択肢としてお薦めなのは運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえるSBI証券セレクトプラン、楽天証券、マネックス証券、松井証券、イオン銀行です。iDeCoへの加入を検討している人は、これら金融機関のプランを研究することをお勧めします。いずれもネットから無料で資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン楽天証券確定拠出年金プランマネックス証券確定拠出年金プラン松井証券確定拠出年金プランイオン銀行確定拠出年金プラン

iDeCoは公的年金を補完する制度ですから、これを活用する前提として日本の公的年金制度について勉強することを強くお勧めします。この点に関しては、権丈善一先生の『ちょっと気になる社会保障』が最良にして必読の入門書です。このほど、三訂版『ちょっと気になる社会保障 V3』が刊行されました。また、iDeCoも含めて現在の公的年金制度を徹底的に利用するための戦略書として田村正之さんの『人生100年時代の年金戦略』が非常に網羅的にまとめられていてお勧めです。家計管理から貯蓄・投資、公的年金やiDeCo・つみたてNISA活用までトータルに解説している竹川美奈子さんの『50歳から始める! 老後のお金の不安がなくなる本』も老後資金について“自分ごと”として考えるための方法論を丁寧かつ詳細に論じた優れた入門書です。



iDeCoは制度がやや複雑なので加入を検討する場合は解説書を読んで研究することもお勧めします。大江英樹さんの『はじめての確定拠出年金投資』山崎元さんの『確定拠出年金の教科書』『シンプルにわかる確定拠出年金』田村正之さんの『はじめての確定拠出年金』大江加代さんの『図解 知識ゼロからはじめるiDeCo(個人型確定拠出年金)の入門書』などが優れた解説書ですが、最新の制度改正にも対応した入門書として竹川美奈子さんの『[改訂新版]一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』を挙げておきます。

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