近年、日本でも海外株式に投資する際のハードルが大きく低下しました。このため若者の間で海外株式への投資がジワジワと増えているのですが、どうやらこうした傾向は日本だけでなく、新興国でも目立ってきたようです。いよいよホームカントリー・バイアスから自由になった投資家が主流となる“株式投資の未来”が近づいているのかもしれません。
かつて海外株式への投資というのは証券会社のシステムも未整備で、手数料も非常に割高だったことから非常に高いハードルがありました。ところが最近ではネット証券を中心に非常に簡単に海外株式を低廉な手数料で購入することができるようになっています。また、低コストで海外株式に投資できるインデックスファンドやETFも多く登場し、それこそ誰でも簡単に海外株式にアクセスできるようになりました。
そして面白いのは、こうした現象は日本だけではないということです。韓国の新聞を読んでいたたら、韓国でも若者の間で海外株式への投資がブームになっているという記事を見つけました。
韓国の20~30代に株式投資ブーム…個人輸入するように海外株も積極取引(「中央日報」日本語版)
韓国はある意味で日本以上にインターネットが普及している社会ですから、やはり海外株式へのアクセスが容易になっているのでしょう。そんな中で、若者を中心に海外株式への投資が拡大しているわけです。さらに面白いのは、韓国の若者が自国株式に対して極めて否定的な評価をしていることや、金融機関に対して不信感を持っていることです。このあたりも、なんとなく日本と状況が似ている。日本で「日本オワコン」論があるように、韓国には「ヘル韓国」説があるわけです。
もちろん、記事が指摘するように安易な投資ブームに危うさがあるのも事実です。でも、それは世界共通の問題点で、結局のところトライ&エラーを繰り返しながら、それぞれが自分に合った投資手法に行き着くしかありません。それは日本も韓国も共通の課題でしょう。
それよりも注目したいのは、韓国のような新興国でも若者の間で投資におけるホームカントリー・バイアスがなくなりつつあるということです。恐らく今後、世界中の人が世界中の株式に投資することが当たり前の世の中になるのでしょう。そして、とくに新興国の若者が国際分散投資に参入すれば、株式の需給構造へのインパクトは少なくありません。
かつてジェレミー・シーゲル博士が『株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす』の中で“先進国の投資家が高齢化し、保有株式を取り崩すようになれば株式の需給バランスはどうなるのだ”という懸念に対して“新興国の人々が株式を買うようになるから心配するな”みたいなことを書いていたことを思い出しました。
そういった“株式投資の未来”は、意外と早く到来するのかもしれません。