2019年8月28日

「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」が新規設定―驚異の低コスト



SBIアセットマネジメントが9月26日付で「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」を新規設定します。バンガードの「バンガードS&P500ETF」(VOO)への投資を通じてS&P500に連動することを目指すインデックスファンドです。9月12日からSBI証券で募集受付が始まります。

SBIグループとバンガード 初の共同ブランドファンド「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」募集開始(予定)のお知らせ(SBI証券)

なにより驚いたのコスト。投資対象であるVOOの信託報酬を含む実質的な信託報酬は0.088%(税抜)。国内籍のインデックスファンドで米国株式に投資するコストが0.1%を下回るとは、まさに驚異の低コストです。

「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」は、最近ではすっかりお馴染みになった海外ETFを買い付ける形式のインデックスファンドです。投資対象のETFがVOOというのも非常に興味深いものがあります。バンガードはこれまでセゾン投信や楽天投信投資顧問などと共同ブランドのファンドを立ち上げてきましたが、新たにSBIアセットマネジメントも陣営に加わったということになります。

なにより凄いのが、そのコストの安さ。ファンドの信託報酬(税抜)が0.058%、これに投資対象ETFであるVOOの信託報酬0.03%を加えた実質的な信託報酬は0.088%程度となります。米国株に投資するコストが0.1%を下回るというのは驚異的な水準と言えるでしょう。ライバルファンドとなる「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の信託報酬0.162%をやすやすと追い越してカテゴリー最安値に躍り出ました。

また、CRSP USトータル・マーケット・インデックスに連動する「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」(VTI)への投資を通じて米国株式に投資する「楽天・バンガード・ファンド(全米株式)」の信託報酬0.16%程度と比較しても「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」はほぼ半分の信託報酬。これは強力な競争力と言えるでしょう。

もちろん海外ETFを直接購入すればもっと低コストとなりますが、売買手数料やドル調達の際の為替手数料、そして税務処理の手間を考えると「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」のコスト水準は極めて魅力的でしょう。ちなみに比較的簡便に購入・保有できる国内上場ETFと比べても、例えば「SPDR S&P500ETF」(1557)の総経費率が0.0945%ですから、やはり「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」のコスト水準というのは驚異的です。

「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」の登場でS&P500に投資する際のファンドとして最有力候補に躍り出ました。ファンドを通じてETFを買い付ける形式のインデックス運用はベンチマークとの連動がやや甘くなる傾向があるので設定直後は様子を見た方がいいと思いますが、それでも圧倒的な低コストは魅力的です。「つみたてNISA」対象ファンドとして金融庁にも届出しているとのことなので、こちらでも有力な選択肢となるでしょう。SBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)プランに投入しても面白いと思います。

ライバルファンドである「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」や「楽天・バンガード・ファンド(全米株式)」の動きも気になります。はたして「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」に対抗して信託報酬を引き下げてくるのか。インデクスファンドの低コスト競争はまだまだ続きそうです。

それにしても先進国株式インデックスファンドに続いて米国株式インデックスファンドも信託報酬が0.1%を下回る時代に突入しました。インデックスファンドの低コスト競争によって、個人投資家にとっての環境整備が一段と進みます。あとは、こうした環境を個人が生かすかどうかを問われる時代になったのだと改めて実感しました。

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