2019年8月25日

購入時手数料制度の終焉―SBI証券が投信積立の買付手数料を無料化



SBI証券が8月27日から投資信託の積立購入(NISA口座、ジュニアNISA口座を含む)の際の買付手数料を無料化すると発表しました。

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SBI証券の取り組みには実質的な効果以上に大きな象徴的意味があると感じます。それは投資信託の購入時手数料という制度が終焉に向かっていることを表しているのです。

SBI証券では今後、同社が販売している国内公募株式投資信託(MMF、中国F、MRF、外貨建MMF、ETF、REIT、外国籍投資信託を除く)のすべてで積立購入の際の買付手数料(購入時手数料)が原則無料となります。SBI証券はこれまでも数多くの投資信託をノーロード(購入時手数料なし)で販売していましたし、購入時手数料が必要な投資信託に関しても積立購入の際の買付手数料をキャッシュバックするサービスを実施していました。その意味で実質的な効果は限定的なのですが、それ以上に象徴的な意味を感じます。

投資信託は通常、信託報酬と購入時手数料という二つの手数料が存在し、これが運用や販売を担う金融機関の収益源となります。そのうち購入時手数料は購入時の商品説明など金融機関が提供するサービスの対価として設定されていました。しかし、ネット証券の場合は購入時にそれほど大きなサービスを提供する必要がないため、購入時手数料に対する合理性が問われることになり、実際に大部分の投資信託がノーロード(購入時手数料なし)で販売されてきました。

そして今回、SBI証券は積立購入の際の購入時手数料を原則廃止しました。こうした動きはいずれ他のネット証券も追随するでしょう。それは少なくとも積立購入においては購入時手数料が原則として廃止されることを意味します。つまり、購入時手数料という制度自体が終焉するということです。こうした動きは、やがては大手証券会社や銀行の店頭販売にも影響が及ぶはずです。そうなれば、投資信託を販売する金融機関にとって収益構造を大きく変える動きとなります。

これまで日本では金融機関による投資信託の回転売買が大きな問題となっていました。その背景にあるのが購入時手数料の存在です。金融機関にとっては個人顧客に次々とファンドを乗り換えさすことで大きな購入時手数料収入を得ていたのです。しかし、購入時手数料という制度が終焉を迎えれば、こうした従来の収益構造も終焉します。金融機関が投資信託の販売を通じて収益を上げるには、預かり資産の絶対額を増やすことで信託報酬からの収益を増やすしかなくなります。そして、その場合に最も有効な販売手法は積立投資にほかなりません。ネット証券がまず積立購入で購入時手数料を廃止した理由がここにあります。

今回のSBI証券の取り組みをきっかけとして、大手証券会社や銀行も含めて投資信託の販売手法全体に大きな変化が起こるかもしれません。

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