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2019年8月21日
次の焦点は国民年金基金連合会の手数料―2019年8月の個人型確定拠出年金(iDeCo)積立と運用成績
お盆休み終わったのですが、まだ休みボケが治りません。出勤がしんどいです。そんな中、SBI証券のオリジナルプランで拠出・運用している個人型確定拠出年金(iDeCo)の8月の買付(7月拠出分)が約定しました。ここにきてDC向けファンドも信託報酬引き下げの動きが強まっており、ますますiDeCoの環境整備が進みました。ただ、ファンドのコストが下がるにつれて気になりだしたのが国民年金基金連合会に支払う手数料です。iDeCoのさらなる普及を目指すなら、次の焦点として議論するべきテーマでしょう。
SBI証券のiDeCoオリジナルプランで買付けたファンド・商品は以下の通りです(カッコ内は信託報酬)。
【個人型確定拠出年金(SBI証券iDeCoオリジナルプラン)】
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド」(0.16%)
「DCニッセイ外国株式インデックス」(0.189%)
「EXE-i新興国株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.131%程度)
「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.104%程度)
「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(0.14%)
「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」(0.52%)
「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」(0.27%以内)
「あおぞらDC定期」
7月23日から「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」の信託報酬が0.21%から0.14%へ引き下げられました。また、「DCニッセイ外国株式インデックス」も10月1日から0.14%へと引き下げられます。ここにきてDC向けファンドでも信託報酬引き下げの動きが活発化していることは大いに評価できます。なにしろiDeCoはラインアップに含まれる商品から選ばなけれならず、運営管理金融機関やプランの乗り換えも面倒なため簡単にファンドを乗り換えることができません。ですからDC向けファンドのコスト引き下げというのは運用会社には最優先課題だと認識して欲しいと思います。
その上で、これからぜひ議論して欲しいのがiDeCoの事務手数料です。現在、金融機関に支払う運営管理手数料はSBI証券をはじめ無料化がかなり進みました。しかし、実際に資産管理を行う信託銀行への手数料月64円と国民年金基金連合会に支払う事務手数料が月103円かかります。とくに国民年金基金連合会は加入時にも手数料2777円を徴収します。はたしてこの金額が妥当なのかどうか。この点についてカン・チュンドさんがかなり厳しい指摘をしています。
iDeCoの実施主体、国民年金基金連合会へのギモン、疑問(カン・チュンドのインデックス投資のゴマはこう開け!)
もちろん、実際に様々な実務が存在するでしょうし、国民年金基金連合会は営利団体ではないので民間金融機関のような採算度外視のプロモーション的サービスを行うわけにはいかないでしょうから、一定の手数料が必要というのは理解できます。ただ、カンさんが問題にしているのは、果たして現在の手数料水準に合理性があるのかということです。もっというなら、手数料水準の合理性を国民年金基金連合会が説明しているのかという問題です。
しかも、iDeCoのような仕組みは一種の装置産業ですから、加入者が増えれば規模の経済が働き、1口座当たりの必要経費は小さくなっていくはずです(これはインデックスファンドの純資産残高が増加すればコストが低下するの同じ)。ですからiDeCo加入者が現在のようなペースで増加を続けるとすると、やはりどこかで事務手数料の引き下げについても考えるべきでしょう。
iDeCoが本当に普及するための次の焦点は、やはり国民年金基金連合会の手数料ではないでしょうか。こういった問題は、ぜひ厚生労働省の年金部会あたりで誰かが提言して欲しいものです。
【ご参考】
日本の公的年金制度について勉強するなら、権丈善一先生の『ちょっと気になる社会保障 増補版』が最良の入門書です。また、iDeCoも含めて現在の公的年金制度を徹底的に利用するための戦略書として田村正之さんの『人生100年時代の年金戦略』が非常に網羅的にまとめられていてお勧めです。
iDeCoに加入する場合、金融機関によって手数料や商品ラインアップが異なることに注意が必要です。現在、iDeCoプランの選択肢としてお薦めなのは運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえるSBI証券セレクトプラン、楽天証券、マネックス証券、イオン銀行、松井証券です。iDeCoへの加入を検討している人は、これら金融機関のプランを研究することをお勧めします。いずれもネットから無料で資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン、楽天証券確定拠出年金プラン、イオン銀行確定拠出年金プラン、マネックス証券確定拠出年金プラン、松井証券確定拠出年金プラン
ただ、iDeCoは制度がやや複雑なので解説書を読んで研究するのも良いでしょう。解説書としては大江英樹さんの『はじめての確定拠出年金投資』山崎元さんの『確定拠出年金の教科書』『シンプルにわかる確定拠出年金』竹川美奈子さんの『一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』田村正之さんの『はじめての確定拠出年金』大江加代さんの『図解 知識ゼロからはじめるiDeCo(個人型確定拠出年金)の入門書』を挙げておきます。