2018年5月15日

時空意識の拡大が”幸せ”持ちへの道―岡本和久さんのセミナーに参加して



先日、I-Oウェルス・アドバイザーズ代表の岡本和久さんのセミナーが大阪でありました。私は岡本さんの本に非常に影響を受け、いわば私淑しているいるようなものなので、もちろん参加しました。岡本さんの話をじっくりと聞いて、改めて感心。それは「時空間意識の拡大」が、お金持ちを超えた"幸せ"持ちになるための道だという発想です。投資だけでなく、生き方の考え方にまで昇華された発想には本当に驚かされますし、納得させられてしまいます。

今回のセミナーでは「100年人生のお金の付き合い方」がテーマだったのですが、単純に資産運用の技術論を超えた内容でした。岡本さんは人生の目的は、お金持ちになることではなく、"幸せ"持ちになることだと指摘した上で、そのためには時空意識の拡大が必要だと強調しています。時空意識の拡大とは何か。それは物事を考えるときに時間軸と空間軸を拡大させて認識することです。つまり、目的を現在の自分という1点から、未来(時間軸)へ、そして自分以外(空間軸)へ広げることです。

例えば、いまあるお金を使うのは現在の自分のためです。しかし、少し未来の自分のために使おうと考えることが「貯める」ことになり、それは意識の時間軸が延長されたことになります。また、現在の自分が使わないお金をいまお金が必要な人に託すことが「投資」ですが、これは意識の空間軸が拡大されたことを意味します。つまり、お金とどのように付き合うかにおいて、時空意識を拡大することで自分のための行為が他者や社会へと拡大されていく。

投資の方法も同じです。時間軸と空間軸がまったく広がらないのが「投機」ですが、時空意識を広げていくことで「短期・集中投資」「長期・分散投資」そして「人生を通じた資産運用」へと広がっていく。あるいは仕事も「自分のため」から出発し、時空意識が広がるにつれて「会社のため」「お客のため」「世の中のため」といった具合に意識が拡大されていく。日々の生活でも「一日一善」から始まり「まわりの人を笑顔に」「仕事を通じて社会作り」、そして「世界平和」という大目的が存在するという意識が生まれる。そうやって時空意識を拡大していくことが"幸せ"持ちへの王道だと岡本さんは説きます。

こうした時空意識の拡大の媒体となるのがお金なのです。岡本さんはお金の遣い方として「つかう」「ためる」「ふやす」「ゆずる」という「ハッピー・マネー四分法」を提唱していますが、それこそ時空意識の拡大を最も端的に言い表した言葉だと言えるでしょう。お金のにまつわる単なるノウハウや技術論のお終わらずに、生き方の認識にまで昇華する考え方には、本当に感心させられました。こういった考え方に触れることができただけでも、今回のセミナーで大いに学ぶ点があった。

もちろんセミナーでは実戦的な考え方についても素晴らしい内容がありました。例えば現役時代の収入にはリタイア後の生活費も含まれているという現実や、退職後の最大のリスクは購買力低下による「生活の質」の低下だという指摘。そして、リタイア後の購買力を維持するために、グローバルな株式インデックスの活用で複利の力を最大限活用することの必要性を説きます。こうした方法論は一切の奇をてらったところがなく、まさに王道中の王道を行くやり方なのが、いかにも岡本さんらしい。しかし、達人の道というのは、こういったものなのです。

セミナーではそのほか、「アメリカに学ぶ老後資産対策」として、米国の投資教育を行う非営利団体であるインベスター・プロテクション・トラスト(IPT)の活動紹介がありました。日本と同じく米国の人も老後資金については大いに悩んでいる。これに対してIPTは、はっきりと「公的年金だけでは十分な老後資金をまかねない」という現実を国民に直視させ、正しい資産形成・運用の方法論を教育しています。ちなみにIPTの活動資金は、利益相反行為などで処分された金融機関からの罰金でまかなわれているとか。アメリカ人は賢い。日本でも同じく仕組みで投資教育のための資金を作ればいいのに。野村なんかがたっぷりとお金を提供してくれるにちがいありません。

また、米国ではまったくの投資初心者に対してごく初歩的なアドバイスを行う公認ファイナンシャル・カウンセラー(AFC)という資格があることも紹介されました。ファイナンシャル・アドバイザーに相談する前の段階の相談に応じるものです。こうした存在は、日本でもぜひ必要だと強く感じました。まったくの投資未経験者にとっては、それこそ証券会社に口座を開くだけでも、どうしたらいいのか分からないのが現実だからです。

非常に勉強になったセミナーでした。セミナー後には懇親会のも参加し、岡本さんと少しゆっくりと話す機会もありました。これもご馳走です。なんとも楽しく、そして充実した時間を過ごすことができました。

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