2018年4月3日

手数料にこだわるのは投資家としての最低限の作法



日本経済新聞の田村正之編集委員が金融商品の手数料について分かりやすい記事を書いています。

低コスト投信で資産増やす 長期運用だと差は歴然(NIKKEI STYLE)

わずかな手数料の差が長期投資だと大きな差となって投資家にのしかかってくるのだから、いかに低コストな商品を選ぶのかが大切かという話です。とくにインデックスファンドの場合、同じ指数に連動するファンドは基本的に同じリターンとなりますから、信託報酬の差がそのまま投資家が実際に享受するリターンの差になるわけです。低コストな商品を選ぶというのは非常に大切なのです。しかし、これはなにも投資信託やインデックス投資に限った話ではなりません。それこそ個別株のデイトレードや信用取引にいたるまで、とにかく手数料にどれだけこだわるかというのは、投資理論や技術以前の最低限の作法でしょう。

投資や金融商品の選択において、なぜ手数料にこだわることが大切なのかというと、これは金融商品が提供するサービスと手数料の関係が通常の商品売買などと異なる特殊性を持つからです。通常の商品やサービスの売買の場合、消費者は商品・サービス提供者に金銭(代金)を支払う対価として何らかの利得を享受します。このとき原則として支払った金銭と享受した利得は等価交換の関係となります。ところが投資サービスや金融商品の場合、投資家が金融機関に支払う金銭(手数料)と享受する利得(投資リターン)の間に等価交換の原則が存在しません。金融機関は投資家がどんなに損しようが一定の率で手数料を取るし、投資家もどれだけ儲けたとしても、やはり事前に決められた一定の率しか手数料を支払う必要がない。

つまり投資における手数料というのは文字通り手数料であって、なんらかの行為を代行してもらったことに対する対価なのであって、投資家が享受する利得の大小とは無関係なのです。だから極言してしまうと、投資において投資家と金融機関は手数料を通じて利益相反の関係にある。では、なぜ金融機関は受益者である投資家のためにベストを尽くさなければならないのか。それは投資において金融機関と受益者たる投資家の関係が通常の契約関係ではなく、信認に基づく関係だから。そこでは信認された者(金融機関)には受益者(投資家)の利益を専らにするという忠実義務が課せられる。そして、この忠実義務の源泉はあくまで信認関係ですから、やはり対価の大小と無関係。例えば投資信託の場合、信託報酬が安いからといって運用会社が運用で手を抜いてはいけない理由です。

このように投資サービスや金融商品の手数料というのは、つねにその存在基盤があやふやなのです。だからこそ投資家はつねに手数料の水準が合理的なのかを自ら吟味する必要が生じる。手数料にこだわるのは投資家としての最低限の作法と言えるでしょう。そして、これは投資信託やインデックス投資に限りません。個別株投資でも、例えば売買手数料が少しでも安い証券会社を使うというのは基本中の基本です。それは投資家として手数料の合理性をしっかり吟味した証です。

こうした投資サービス・金融商品の手数料の特殊性ということが分かれば、例えばアクティブファンドを選ぶときに「手数料にこだわらず、良い運用成績が期待できるファンドを選ぶべき」という意見が、いかに片手落ちか分かります。手数料と運用成績は無関係なのですから、両者は分けて吟味しなければならない。だから投資家が選ぶべきは「手数料が合理的で、良い運用成績が期待できるファンド」なのです。

最後に「手数料の安いサービスや商品を探すことに労力を使うぐらいなら、その労力をもっと儲かる商品や銘柄を探すのに充てた方がいい」という意見に対してひとこと反論しておきます。

手数料の安いサービスや商品を簡単に見つけられないような情弱が、儲かる商品や銘柄を簡単に見つけることができるわけがない。

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