サテライトポートフォリオの一部として積み立て投資している「ひふみ投信」の2018年3月次運用報告が出ました。2018年3月の「ひふみ投信」の騰落率は-0.7%、参考指数であるTOPIX(配当込み)の騰落率は-2.0%でした。2月からの下落相場が続いていますが、参考指数よりも下落率に抑えるなど見事な踏ん張りを見せてくれました。純資産残高は3月30日段階で1355億円(前月は1342億円)、受益権総口数は26,580,632,883口(前月は26,121,901,078口)、ひふみマザーファンドの純資産残高も7228億円(前月は7026億円)となっています。軟調な相場にもかかわらず資金流入が続いていることになり、受益者の信頼が厚い。こういった下落相場で大きな資金流出が起こらないことは、アクティブファンドのリターンにとって極めて良い影響を与えます。このあたりに「ひふみ」の強さがあると言ってよさそうです。
3月は米国でトランプ大統領による輸入関税導入の発表や、日本での「森友問題」再燃など政治リスクが改めてクリーズアップされる展開となり、世界的に株式市場のマインドが悪化しました。為替も円高傾向が強まっており、これが日本の輸出企業の収益悪化懸念につながっています。このためTOPIXは軟調に推移したのですが、「ひふみ投信」の下落率は参考指数よりも少なく、よく踏ん張っていると言えるでしょう。市場環境に合わせてポートフォリオの組み合えも奏功したようです。最高運用責任者の藤野英人さんは次のように書いています。
このような環境下で、ひふみは、円高要因で業績の下方修正が予想される銘柄のウエイトを落とし、わたしたちの得意とする地味で地道な銘柄群への投資にシフトしています。実際に組入れ上位銘柄を見ると2月から顔ぶれがだいぶ変わりました。ショーボンドホールディングスなど中小型株が上位10銘柄に顔を出しています。
また、もうひとつ注目は米国株への投資でしょう。新たにVISAを組み込んでいます。やはり藤野さんが指摘しいていますが、円高局面は日本株にとっては逆風ですが、米国株への投資という観点では円換算で安く買えるチャンス。そこで選んだのがVISAというのが渋い。これは以前から感じていることですが、どうも藤野さんは決済サービス企業への関心が高い。なかなか面白いストーリーが想像できます。
今後に関しても、しばらく株価は下落基調が続きそうですが、「このような時には必要以上に下落した銘柄を的確に投資するチャンス」となります。そして、それを支えているのは堅調な資金流入でしょう。アクティブファンドにとって何がいちばん怖いかというと、やはり下落局面での解約による資金流出です。これが起こると解約に対応するために値下がりしている保有株を泣く泣く売却することになり、これがさらにパフォーマンスを悪化させるという悪循環に陥る。アクティブファンドが潰れる原因のほとんどは、相場の下落ではなく、それをきっかけとした解約増加と資金流出です。
その点、「ひふみ」はまだ資金流入が続いていますから、逆に相場が回復したときにはパフォーマンスがさらに良くなる可能性を秘める。「ひふみ」は昨年にテレビで紹介されたこともあって急激な資金流入が起こりました。こうした資金は下落相場での足が速いのではという懸念があったわけですが、いまのところまだ受益者の支持をつなぎとめることに成功しています。受益者とのコミュニケーションによる信頼関係強化が成果を上げているということであり、それが「ひふみ」の強さのより本質的な理由だと思います。
しばらくは難しい相場が続きそうですが、その中で「ひふみ」がどのような舵取りを見せるのか非常に興味深い。米国株への投資やポートフォリオの組み合えなど、ある意味でアクティブファンドの腕の見せ所ともいえる局面だからです。受益者の1人として、引き続きウオッチしていきたいと思います(1点だけ気になることもあります。組入れ上位10銘柄に光通信の名前が。あいかわらず藤野さん、この会社が好きですね。昔のことを知っている者からすると、なんとも言えない微苦笑を誘いますが)。
さて、月次運用報告書に先立って発表された中間レポート恒例の組入れ銘柄紹介です。今回はパナソニック(6752)。これも説明不要でしょう。ただ、パナソニックも昔のパナソニックではありません。白物家電に代表されるB2Cビジネスから、リチウムイオン電池やコクピットシステム、先進運転技術関連など車載エレクトロニクスを中心としたB2Bビジネスへのシフトを大胆に進めました。やはり「ひふみ」がいま注目している“覚醒”した日本企業、“きれいなオジサン銘柄”の一角ということでしょう。
【ご参考】
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