定例のひふみ投信ウオッチです。6月はBrexitショックで月末にパニック相場ともいえる暴落があったのですが、このほど発表された運用報告書によると、ひふみ投信の2016年6月の運用成績は-5.9%でした。参考指数であるTOPIX(配当込み)は-9.6%でしたから、インデックスを大きくアウトパフォームしたことになります。パニック相場ともいえる大暴落があったなかでのこの成績は素晴らしいパフォーマンスだと思います。6月30日段階での純資産残高は305.9億円(前月は318.3億円)、受益権総口数は9,547,845,305口(前月は9,348,282,585口)でした。株価下落で純資産は減少していますが、口数が伸びているということは下落相場にもかかわらず安定した資金流入が続いているということです。あいかわらず受益者の支持が高いです。
6月はBrexitショックで日経平均も1000円を超える大暴落となりました。株式相場というのは何らかのショックで狼狽売りが起こると、あらゆる銘柄が下落に見舞われるものです。だから株式運用では大きな下げの局面で、どれだけマイナスを小さくできるかということは上昇リターンを確保する以上に重要になります。その意味では6月のひふみ投信の運用成績は素晴らしいの一言。一時的なパニック相場となっても、市場が冷静さを取り戻すにつれて確実に値を戻す銘柄をしっかりと選択できていたということですから、受益者の一人としてもちょっと感心しました。
とはいえ、世界経済の先行きはいまだに不透明です。日本の株式も海外に比べると戻りが弱く、円高も加わって構造的な不安を抱える状態になりつつあります。こうした中、ひふみ投信の今後の運用方針は、なかなか興味深いものがあります。最高運用責任者である藤野英人氏は次のように書いています。
不況期には不況期の投資方法があり、ひふみの運用では、過去の不況期においても 日経平均株価などのインデックスを上回る成果を出してきました。一般的に大企業の 業績は、景気が良いときには改善し、景気が悪くなると悪化します。中堅企業や小型 企業でも基本的には同様なのですが、その中の一部にはニッチな分野などで着実に成 長し企業業績を伸ばしている会社が数多く存在します。私たちはそのような会社への 投資が得意であるので、インデックスを上回ることが可能なのだと考えています。「不況期には、不況期の投資方法」という言葉が、いかにもアクティブファンドらしくて面白い。ぜひ、お手並み拝見と行きたいところです。また、今回のBrexitショックで日本の景気回復もやや後ろ倒しになるとの見通しからポートフォリオも「やや保守的な銘柄構成に戻していくことを検討しています。 特に4月~6月に減らしたデフレ関連銘柄(デフレ経済になると恩恵を受ける銘柄) の比率を高めていくことが挙げられます」と若干の組み換えを示唆しています。このあたりの手腕にも注目していきたいと思います。
さて、月次運用報告書に先立って発表された中間レポート恒例の組入れ銘柄紹介です。今回は井関農機(6310)でした。知る人ぞ知る農業機械メーカーですが、これを組み入れるというのはなかなかユニーク。日本の農業というとなんとなく衰退産業の代表選手と思われがちなのですが、あえてその関連分野に投資するという発想が面白い。確かに人手不足から農業のさらなる自動化・省人化は避けられないわけですから、投資判断のストーリーとしてはありかもしれません。なにしろ投資のセオリーのひとつに「人の行く裏に道あり花の山」ということがあるのですから。
【ご参考】
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