2016年5月11日

月次運用報告書が大幅パワーアップ―ひふみ投信の2016年4月の運用成績



定例のひふみ投信ウオッチです。このほど発行された2016年4月次運用報告書「ひふみのあゆみ」によると、ひふみ投信の2016年4月の騰落率は-2.4%でした。参考指数であるTOPIX(配当込)の騰落率は-0.5%%ですから、4月は参考指数を大きくアンダーパフォームしてしまいました。3月は騰落率+10.5%という素晴らしいパフォーマンスだったのですが、その反動が出たともいえそうです。大きく上げた銘柄は、大きく下げやすいですから。4月最終営業日である28日に出た日銀政策決定会合の結果が市場の期待とは裏腹に現状維持となり、相場も大暴落となったことで月中の貯金を吐き出してしまったともいえそう。4月28日段階での純資産残高は303.9億円(前月は308.14億円)、受益権総口数は9,195,096,318口(前月は9,098,403,798口)でした。株価下落で純資産残高は減少しましたが、口数が増加していることから、引き続き順調な資金流入が続くなど受益者の支持は高いといえそうです。また、4月次から月次運用報告書が大幅にパワーアップしました。こうした受益者への積極的な情報発信を進める姿勢が、ひふみ投信の魅力でもあります。

4月は月中で日銀による追加緩和への期待が高まり、株価も順調に上げていたのですが、28日の政策決定会合の結果によって帳消しになってしまいました。また、熊本地震の発生や、それに伴う一部製造メーカーの操業停止など日本株市場には不安要素が増えています。だから、ちょっとした材料で大きく売られるなど引き続き地合いが悪い。こうしたなか、ひふみ投信の組入れ銘柄に明らかな変化が表れてきています。運用責任者である藤野英人氏は次のように書いています。
このような状況の中ひふみでは、外部環境が悪化しても成長を継続する銘柄への投資を進めています。具体的には、人材派遣・請負に加え、介護施設や保育施設を運営し事業拡大を続けるジェイコムホールディングスを買い増すなど、円高が進行しても外部環境に左右されず、自力で収益を上げられ、成長することが出来ると期待される銘柄の買い増し・組み入れを行いました。

4月次から運用報報告書がページ増となるなど一段と充実したのですが、新たに組入れ比率上位20社が詳細に紹介されるようになっています。これを見ても、藤野氏の着目点が明瞭です。すなわち、いわゆる“デフレ銘柄”の比率が高まっていること、人手不足が追い風になる業種を買っていること、Eコマースや電子決済関連銘柄を手厚くフォローしていることでしょう。このあたりが外部環境に左右されず、円高耐性もある銘柄という判断なのでしょう。

また、現金保有率が4.2%となり、ここにきて急速に低下していることも注目です。市場の地合いが悪いなか、大きく売られて安値となっている銘柄も散見されますが、どうもここにきて大型株やハイテク株などを中心に安値玉を拾っているような気がします。実際に藤野氏も今後の運用について次のように述べています。
過去半年ほどを振り返ると、輸出ハイテク企業と銀行をほとんど保有しないことが功を奏していました。こちらも3月の「ひふみのあゆみ」でご説明したとおり、今後はこれまでと違い、特に輸出ハイテク企業への投資を的確なタイミングで行うことが運用成績をあげる大きなポイントになるだろうと考えています。
すでに組入れ上位銘柄のなかには、ふくおかフィナンシャルグループ(8354)や、大林組(1802)など、これまであまり目にしなかった銘柄があります。このあたりの動きは今後、気になるところです。また、引き続き「日本の覚醒」(①経営の覚醒②業績の覚醒③技術の覚醒)に期待するという意味深長な言葉が報告書にはありますが、この具体的な内容についてもぜひ知り知ところです。

さて、前述したように4月次から月次運用報告書が大幅拡充されました。新たにひふみ投信の運用状況について、市場との比較データなどが追加され、組入れ上位20銘柄も紹介もされています。これにより月次報告書は12ページのボリュームに。月次報告書でこれだけの分量を交付するファンドは非常に珍しい。こうやって少しでも受益者に情報提供しようとする姿勢を私は評価します。

やはり受益者への情報発信重視の姿勢の表れとして月次運用報告書に先立って発表されている中間レポートですが、恒例の組入れ銘柄紹介は、デジタルガレージ(4819)でした。オンライン決済・広告サービスなどとともに、新しい技術への投資・育成を目的とした起業支援などを事業とする多角的なIT企業とのことです。これもまったく知らない企業でした。電子決済やオンライン広告事業のほか、ベンチャー投資・育成を手掛ける「インキュベーションテクノロジー」事業では、ブロックチェーン技術、人工知能、バーチャルリアリティなど最先端のテクノロジー分野を中心に国内外で131億円も投資しているとか。こういった投資は当たるとデカいので、期待したいところです。

【ご参考】
ひふみ投信は、銀行や証券会社といった販売会社を通さない直販ファンドです。ネットから無料で口座を開設することができます。⇒ひふみ投信

ひふみ投信と同じマザーファンドに投資する「ひふみプラス」はSBI証券 、カブドットコム証券、楽天証券、マネックス証券など主要ネット証券や地方銀行などで買うことができます。

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