2015年9月5日

下げ相場のときこそ個人投資家が強みを発揮できる

豊島逸夫さんによると8月からの世界同時株安でヘッジファンドも大きな損失を出しているそうです。

世界同時株安で、ヘッジファンドも大損続出(豊島逸夫の手帖)

高度な金融工学や投資理論を駆使するヘッジファンドですら、今回の世界同時株安による損失を“ヘッジ”できなかったことには、なかなか貴重な教訓が含まれています。それは、相場が大きく下落する局面では、なかなか自分だけ損失を避けるということができないということ。結局、損するときはほぼ全員が損するというのは投資という行為の避けがたい宿命なのでしょう。しかし、じつは全員が損をしているような下げ相場のときこそ、個人投資家が強みを発揮できるともいえるのです。

豊島さんが紹介しているヘッジファンドの実態は、なかなか悲惨なものです。
例えば、著名投資家デビッド・アインホーン氏率いる大手ヘッジファンドのグリーンライト・キャピタルは、8月だけで運用資産の5%を失った。1~8月で見ると、運用成績はマイナス14%。惨憺たる結果だが、それでも、顧客は2%のフィーを払わねばならない。まさに、踏んだり蹴ったり。解約が相次ぐのも当然だ。
その他にも、著名投資家ビル・アクマン氏率いるパーシング・スクエアが8月には9.2%の損失。これで、1~8月期ベースでは、トントン、即ち、損得ゼロになってしまった。
「物言う株主」としてソニー株取得、更に先月にはスズキ株取得で日本でも知られるサード・ポイントも、マイナス5.6%。
ヘッジファンド業界の大御所、ジョン・ポールソンも、8月初旬まではプラス20%の運用成績だったが、同月を終わってみれば、6%の損失を蒙る結果となった。
投資手法には、やれ「バリュー投資だ」「チャート分析だ」と様々な流儀流派があるわけですが、大型の調整相場があると、ほぼ全員が損するものです。よく投資ブログや掲示板で「俺は高値で売り抜けたよ。まだ持ってるのw」といった記述が登場しますが、こういった煽り文句のほとんどは“エアートレード”だと思って無視するべきでしょう。そんな簡単に人を出し抜けるわけがありません。

下げ相場になれば、機関投資家だろうが個人投資家だろうが、平均すれば中央値の前後のレベルで損をするわけですが、意外と個人投資家の方が強みを発揮できる環境であるともいえます。なぜなら、ヘッジファンドなど高い手数料を取っている機関投資家は、運用成績が悪化すると解約が相次ぎますから、その現金を手当てするために値下がりした投資案件を投げ売りしなければならなくなるからです。さらに資金流出が続けば、ファンド自体が運用を停止することにもなるでしょう。

一方、個人投資家は一時的に運用成績が悪化してもリスク許容度の範囲内で投資していれば、含み損を抱えても投げ売りする必要もありません。まあ、現在のように相場のボラティリティーが異常に高まっている状態なら、定期の積立投資以外の新規投資は控えておいて様子を見ればいい。ちょっと相場が落ち着いたなと思えば、慌てずにそこで安値を拾っていっても面白いでしょう。

こう考えると、下げ相場こそ個人投資家が機関投資家に対して優位性を発揮できる局面です。よく「投資しても結局、個人投資家は機関投資家の養分になるだけ」といって投資自体を批判する人がいるのですが、それは機関投資家の後追いで投資してるからです。相手と同じ土俵で勝負して勝てるわけがありません。逆に個人投資家は機関投資家ができない手法に徹するべき。機関投資家が売らざるを得ない局面で、個人投資家は特別何もせずに休む。この休むことも個人投資家の特権です。機関投資家は手数料を取っている以上、あまり大きなキャッシュポジションはとれませんから。そして相場が落ち着いてくれば、ゆったりと安値を拾えばいい。ただ、いつ相場が落ち着くのかは予想不可能ですから、積立投資などを淡々と続けて、結果的に安値を拾っていく手法がいちばん手っ取り早いでしょう。

もちろん個人がこういった投資戦略を実行するためには、含み損を気にしない環境を作ることが前提条件になります。だから個人の投資はリスク許容度の範囲内で行うことが大切という、またまた当たり前の結論になる。同時に、なぜ借金をして投資してはいけないのかという理由もはっきりします。借金をして投資すると、長期的な含み損に耐えることができなくなる。それは、個人投資家として最大の強みを自ら放棄することを意味します。そんなやり方では必敗は免れないのです。
スポンサードリンク