2015年1月12日

確定拠出年金のデメリット、リスク

資産形成の有力ツールとされる確定拠出年金ですが、デメリットとリスクもいくつかあります。まず、60歳まで原則引出不可という流動性リスク。しかし、これは強制的に長期運用させるという意味で、メリットと捉えることも可能でしょう。それよりも大きなリスクは、政策・税制変更リスクです。

まず、特別法人税の存在。これまで凍結が続いていますが、凍結が解除されれば年率1.173%が確定拠出年金として運用している資産全体に課税されます。利益ではなく資産全体に課される資産課税ですから、大変な負担となります(次の凍結期限は2017年3月末です)

もう一つは、所得控除額が制限されないかどうかということ。現在、個人型確定拠出年金は拠出金全額が所得控除されます。このため金融機関に運営管理費を支払っても、節税効果と合わせて考えると非常にお得になっています。しかし、仮に控除額が減額された場合、非常なダメージを受ける可能性があります。

こういう事態はけっこう頻繁にあります。例えば年末調整で申告する生命保険料控除は、2011年までは一般生命保険(死亡保障、医療保障、介護保障など)料控除8.5万円(所得税の控除5万円、住民税の控除3.5万円)、個人年金保険料控除8.5万円(同)の合計で年額17万円でした。ところが12年からは一般生命保険料控除6.8万円(所得税の控除4万円、住民税の控除2.8万円)+介護医療保険料年額6.8万円(同)+個人年金保険料年額6.8万円(同)に変更されました。新制度では住民税の控除はそれぞれ2.8万円ですが3種類合計で最大7万円までしか控除されませんから、所得税の控除10万円と併せて額上限は19万円となります。旧制度と比べると総額では2万円の増額ですが、例えば個人年金保険にしか加入していない人は1.7万円の減額です。実際に私は、一般生命保険と医療介護保険には加入せず、個人年金保険にだけ入っていたので控除額の減額となってしまいした(ちなみに私は、これは保険会社にとってうま味のある医療介護保険を売りやすくするための税制変更だったのではないかと疑っています)。

税制変更リスクは、年金の受け取り時にもあります。現在、確定拠出年金受け取りの際、一時金で受け取れば退職所得となり退職金控除を、年金で受け取れば雑所得として公的年金等控除の対象となります。しかし、退職金控除にしろ公的年金等控除にしろ、現在の控除額が将来にわたって変わらない保証はありません。仮に控除額が減額された場合、やはり支給額(=運用資産全体)に対する課税ですから、やはりダメージは大きくなる可能性があります。

日本は一般人、とくにサラリーマンの税制リテラシーが低く(源泉徴収制度の罪ですね)、税率は気にしても控除額にまで注意を払う人は多くありません(そもそも個人型確定拠出年金が普及しなかった理由も、ほとんどの人が所得控除によるメリットを理解していないからです)。政府もこの点をよく承知しており、ほとんどの増税は、世間が騒ぐ税率アップではなく、控除額の引き下げという方法をとります。実際に今年から相続税が大幅に引き上げられましたが、これは税率の引き上げよりも基礎控除額がじつに40%も引き下げられたことで実現しています。

現在のところ、確定拠出年金は老後に向けた資産形成の有力ツールであるといえますが、流動性リスクと並んで税制変更リスクがあることを知っておくことは重要でしょう。
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