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2022年3月23日

度し難いSMBC日興証券の相場操縦事件

 

金融商品取引法違反(相場操縦罪)で幹部4人が逮捕されたSMBC日興証券に対して東京地検特捜部が法人としても起訴する方針を決めたそうです。証券取引監視委員会が告発するのを待って刑事処分に踏み切るとのことです


今回の不正行為は、それこそ投資家を食い物にしていると言われても仕方がないでしょう。度し難いとしか言いようがありません。

今回の相場操縦事件は、SMBC日興証券が上場企業の大株主らから保有株式をまとめて買い取り、市場を通さすに別の投資家に転売する「ブロックオファー」と呼ばれる取引に絡んで行われました。

市場で大口売却があると需給が緩んで株価が下落しやすいのですが、ブロックオファーは市場が閉じた後に終値を基準に市場外で若干のディスカウント価格で取引されます。売主は大量の株式を安定した価格で売却でき、買手も手数料なしで購入できるメリットがあります。そして証券会社は売買の差額が利益となります。

ただ問題は、噂が漏れるなどで基準となる終値が下落しやすいことです。終値が下がり過ぎると売主が売却をキャンセルする場合があり、取引が成立しても証券会社の取り分が減ることになります。

そこでSMBC日興証券の関係者が共謀し、自己勘定で市場の株を買い支えて終値を吊り上げ、不当に利益を得た疑いがもたれています。しかも、末端の担当者ではなく幹部が共謀していたというのですから驚く。


報道によると専務執行役員と執行役員、そして部長2人が逮捕されており、いわば最高幹部から実働部隊までが共謀して不正に手を染めた可能性があります。大手証券会社が組織ぐるみで不正行為をはたらいていたと認定されれば、それこそ前代未聞のことでしょう。東京地検特捜部がSMBC日興証券を法人として起訴するのもうなづけます。

容疑が事実だとすると、ブロックオファーとは関係のない一般投資家も結果として不正に操縦された相場で割高に株式を購入させられた可能性があるわけですから、市場に対する信頼感の棄損は計りしれません。なによりこういった事件が起こるたびに、「株式市場はイカサマばかり」といった印象がますます強まります。実際にSMBC日興証券だけでなく大手金融機関による不正事件は後を絶ちません。日本はただでさえ株式投資に対してのネガティブな印象を持っている人が多いのだけに、そうした不正行為の罪は大きいのです。

SMBC日興証券だけでなく、証券業界全体が公正な証券市場の確立に向けて改めて襟を正して欲しいものです。





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