世界的なインフレ懸念や米国の金融引き締め、さらにはロシアによるウクライナ侵攻と2022年に入ってから株式市場の先行き不透明感が高まっています。こうした先行き不透明な株式市場に対して投資家はどのように対応するべきでしょうか。積立投資をしている人なら「積立を止めないことが大事」と言います。一方、「休むも相場」という言葉があるように、先行きが不透明な時は一時的にポジションを縮小し、様子を見るべきとの意見もあります。はたしてどちらが正しいのでしょうか。
不安定な相場において「長期・分散・積立」投資がどのような意味を持つのかについてモーニングスターに参考になる記事が載っています。
過去の株価変動を基にシミュレートした結果がいろいろと載っています。例えば単一の資産カテゴリーに投資するよりも6資産分散投資の方がやはり下落幅が小さく、リスクを抑えることが分かります。また、10年以上保有した場合、いつ購入してもほぼプラスリターンとなるという結果が示されました。
もっとも、これらシミュレート結果はあくまで過去のデータに基づくものですから、確実にそうなるとは限りません。場合によっては逆の結果になることだってある。ただ、そうなる可能性がそこそこ高いことを示していると言うことはできそうです。
それよりもこのシミュレーションで興味深かったのは3番目の積立投資に関するものです。株価が急落した後も積立投資を続ける場合と、いったん投資を休止して相場が反転したところで積立を再開した場合のリターンがどうなったか。前者が圧倒的に大きなリターンを得る結果になりました。これこそ積立投資の面白さです。記事にある通り「株価低迷時にも投資を継続して多くの口数を購入したことが、その後の戻り相場においてより大きな利益を生み出した」わけです。
では、相場格言でよく言われる「休むも相場」は間違ってるのでしょうか。そうではありません。「休むも相場」という考え方も立派な見識ある投資戦略です。ただし、これはあくまでタイミングを見計らって実行する一括投資の場合に当てはまる格言なのです。一括投資なら先行き不透明な局面であえて資金を投じる必要はなく、相場が反転したと判断した時に資金を出動させることでリターンを狙うことができるわけです。
ところが積立投資でこれをやってしまうと、安い価格で多くの口数を購入する好機を逃してしまう。しかも、上げ相場での積立再開は平均購入価格を押し上げるだけなので、ますますリターンが減ってしまう。だから、積立投資にとって「休むも相場」というのは非常に相性が悪いわけです。
だから、積立投資家は現在のような先行き不透明な相場でも淡々と積立を続けることが合理的だし、逆に投資信託に限らず個別株などで一括投資を実践している人は、「休むも相場」で様子を見るのも立派な見識なのです。
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