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2018年10月8日
説明責任を果たす楽天投信投資顧問の姿勢に好感を持ちました
先日もブログで取り上げましたが、楽天投信投資顧問「楽天・バンガード・シリーズ」の第1期運用報告書に記載された実質コストが予想以上にかさんでいるのではないかということが話題になっています。そんな中、楽天投信投資顧問が説明の文書を発表しました。
運用報告書「1万口当たりの費用明細」の内容について(楽天投信投資顧問)
非常に丁寧で分かりやすい説明です。なにより受益者が疑問や不安に思っていることに対して真摯に説明責任を果たそうとしている姿勢が素晴らしい。非常に好感を持ちました。
「楽天・バンガード・ファンド」シリーズは、バンガード社のETFを通じて超低コストで国際分散投資ができる注目のパッシブファンドですが、このほど発表された第1期運用報告書を見ると、実質コストが非常にかさんでいました。とくに売買委託手数料がやや割高になっているのでないかという指摘が一部であります。これに関して私は、設定初年度でしかも変則決算なのだからあくまで参考値として見ておくべきであって、慌てる必要はないと指摘しました。
新規設定ファンドの初年度決算は参考値ぐらいに考えよう―「楽天バンガード」シリーズの第1期運用報告書を読む
そして今回、楽天投信投資顧問が正式に説明した文書を読んで、ほとんどの疑問が氷解しました。説明によると、運用報告書に記載する売買委託手数料は投資信託協会規則に則って「期中の売買委託手数料÷期中の平均受益権口数」で算出することになります。設定初年度は分母となる受益権口数が小さいため、どうしても計算上の1万口当たり売買委託手数料が高くなってしまう。しかし、今後も順調に資金流入が続けば受益権口数は増えていくので、1万口当たり売買委託手数料も低下し、いずれ適正な水準に落ち着くことが予想されます。
やはり設定初年度決算の数字というのは、こういったテクニカルな要因による異常値が出やすい。とくに「楽天・バンガード・ファンド」シリーズは、マザーファンドから新規で設定しているファンドですから、なおさらこの傾向が強いといえるでしょう(ちたみに、マザーファンドの規模が小さいファンドも同様の現象が起こっていると考えられます)。ですから、初年度の運用報告書を見ただけで、そのファンドについて評価するのはちょっと早とちりというものです。
それよりも今回の出来事で印象深かったのが、受益者の疑問に対して真摯に答え、それをWebで公開することで広く開示しようとする楽天投信投資顧問の姿勢です。こういう姿勢こそが、長期投資が前提となるインデックスファンドでは非常に重要でなないでしょうか。なぜなら、インデックス運用といえども実際の運用現場では様々な問題が日々生じます。運用会社はそこでベストを尽くすのが受益者に対する忠実義務ですが、やはり不可抗力的なアクシデントもときには起こる。問題は、そういったアクシデントがあったときに、受益者に対してどのように向き合うのかということでしょう。そこでもっとも大事になるのは説明責任です。受益者に対して真摯に説明することもまた忠実義務であり、フィデューシャリーデューティーです。
だから、今回の楽天投信投資顧問の姿勢には非常に好感を持ちました。「楽天・バンガード・ファンド」シリーズは、「つみたてNISA」で購入するのに非常に便利な商品ですが、運用会社が今回のような姿勢を続けてくれるなら、運用が長期にわたる「つみたてNISA」でも安心して購入することができます。もしかしたら今回の出来事は、楽天投信投資顧問が「楽天・バンガード・ファンド」とその受益者に対してどのような姿勢で臨んでいるのかが明確になったことが最大の収穫だったのかもしれません。その意味で「楽天・バンガード・ファンド」シリーズは引き続き注目のファンドだと思います。
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