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2023年11月26日

新たな環境に適応できるか―ひふみ投信の第15期運用報告書を読む

 

サテライトポートフォリオで購入している「ひふみ投信」の第15期(2022年10月1日~23年10月2日)運用報告書が出たので読んでいきたい思います。ファンドの騰落率は+19.5%、参考指数であるTOPIX(配当込み)の騰落率は+29.3%でした。分配金は見送りです。これで第13期から3期連続で参考指数を大幅にアンダーパフォームしていることになり、非常に厳しい結果だと言わざるを得ません。市場環境が大きく変化する中、その対応がまったく上手くいかなかったということです。今後、抜本的な改革が必要だと思います。

ひふみ投信は第12期に参考指数を大幅に上回る驚異的な成績を上げたのですが(参考指数を圧倒的に上回る驚異的パフォーマンス―ひふみ投信の第12期(2019年10月~20年9月)運用成績)、その後は低調な成績が続いており、かつての輝きをすっかり失っています。やはりファンドの規模が大きくなったことで機動力が落ちており、急激な市場環境の変化に対する対応力が落ちているのかもしれません。

第15期に関しても報告書の中でいろいろと分析しているのですが、ひとことで言って市場のキャラクター変化についていけなかった。例えば金利上昇が成長株にとって重しとなる一方、東証によるPBR1倍割れ問題への取り組みなどから低PBR銘柄の株価が上昇するといった状況変化がありました。これに対して「ひふみ投信」は内需成長株の比率を減らし、内需割安株を増やすといった手を打ち、金利上昇が追い風となる銀行株を組み入れるなどしているのですが、やはり後手後手に回った感が否めません。期中に藤野英人CIOがファンドマネージャーに復帰したことも、あくまで結果論ですが、やはり運用戦略の一貫性という点で不振からの挽回には至らなかったわけです。

厳しい言い方になりますが、アクティブファンドとして3期連続で参考指数をアンダーパフォームするというのは、はっきり言って落第点です。普通のアクティブファンドなら大規模な資金流出に見舞われ、恐らくファンドの命運も尽きるところでしょう。ただ、「ひふみ投信」の場合は受益者との信頼関係が強いため、いまのところ大規模な資金流出は起こっていません。それは「ひふみ投信」の強みであり、今後の復活を支える唯一の財産です。

受益者の信頼が維持されている間に、抜本的な改革が必要でしょう。運用戦略を見直し、ポートフォリオを大幅に組み替えるぐらいのことをしないと現在の市場環境に適応できないと思う。それほど以前とは経済情勢も市場のキャラクターも大きく変化しているからです。既に「ひふみ投信」も「ひふみ魅力化計画」プロジェクトをスタートさせ、組み入れ銘柄の大幅入れ替えに着手しています。こうした取り組みによって新たな市場環境に適応できるかが、今後の「ひふみ投信」の行く末を決めることになりそうです。

最後に純資産残高の変化と実質コストなどを確認しておきます。アクティブファンドにとっても純資産残高の推移と低コストは重要だからです。第15期末の純資産残高は1571億円(前期末1356億円)、マザーファンドの純資産残高は7800億円(同6755億円)でした。費用明細上の実質コストは以下のようになりました。

信託報酬:1.084%
売買委託手数料:0.109%
その他(保管・監査・その他)費用:0.002%
実質コスト合計:1.196%

前期の実質コストが1.414%でしたから、若干コストは低下しています。売買比率は1.04となり、前期の2.75から大きく低下しています。前期から一転しておとなしい運用だったわけですが、成績を見るとやはり総じて後手に回った運用になったと見られても仕方ないでしょう。保有銘柄数は307銘柄であり、前期の265銘柄からかなり増加しています。やはりポイントを絞り込めていなかったという印象を持ちました。こうした点も含めて、今後の改革に期待したいと思います。




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