近年、投資信託による積立投資の認知度が少しずつ高まってきました。これから積立投資をスタートさせようと考えている人もいることでしょう。その場合、最初に考えなければいけないのは、どの資産カテゴリーに投資するのかということですが、それが決まったら次はファンド選びです。インデックスファンドの場合は、やはりコストの安いファンドを選ぶというのがセオリーなのですが、もうひとつ注意する点があります。それは、ファンドに安定的に資金が流入しているかです。投資信託というのは、意外と償還リスクがあるのです。
投資信託の償還リスクに関して、モーニングスターに親切な解説記事がアップされていました。
「いつまでもあると思うな、そのファンド」=資産形成ことはじめ(1)(モーニングスター)
記事にもあるとおり、投資信託の中には償還期限が設定されているものがあります。こうしたファンドは当然ながら長期運用による資産形成のツールとしてはふさわしくありません。やはり信託期間が「無制限」のファンドを選ぶというのが基本です。ただ、問題なのは信託期間が無制限でも、実際は突然に繰り上げ償還される可能性があることです。
なぜそうなるのかというと、やはり記事にあるように資金が十分に集まらないとまともな運用ができなくなるからです。運用会社にとって経費もかさみますから、結局は運用を中止して償還してしまうわけです。そうなると受益者は勝手なタイミングで換金されてしまうわけで、せっかくの長期運用も中断されてしまう。また、償還まで保有を続けると換金された資金が入金されるまでにタイムラグが生じるケースも多く、流動性の面でも不都合が多いのです。
こうした繰り上げ償還のリスクは、インデックスファンドも例外ではありません。良質なファンドでも販売戦略の失敗などが理由で資金が集まらず、繰り上げ償還されてしまうケースは意外と多い。じつは私自身も過去に気に入っていたインデックスファンドが繰り上げ償還されてしまい、非常に残念な思いをしたことがあります。
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こうしたことを避けるためには、やはり安定的に資金流入になっているファンドを選ぶというのが非常に大切です。最近はどの証券会社のサイトでもファンドの資金流出入の動向をかなり細かく確認できるので、そういったデータを確認することが重要でしょう。
ちなみに、アクティブファンドの場合はもっと状況は深刻です。日本ではなんとアクティブファンドの4割が10年以内に償還されてしまうそうです。
10年以内に4割以上が償還のアクティブ、グローバル株式の最終的な勝率が1割以下(モーニングスター)
おまけにインデックスに対する勝率も非常に低いわけですから、話になりません。もちろん、インデックスを上回る成績のアクティブファンドは必ず存在します。しかし非常に少数にとどまるわけですから、そういった“優れたアクティブファンド”を見つけること自体のハードルが極めて高い。
この点を含めても、やはり長期の資産運用でアクティブファンドはコアにはなり得ないわけです。やはり趣味的にポートフォリオのスパイス程度を保有するのが賢明ということになります。
いずれにしても「ファンドは償還される可能性がある」ということを頭の片隅に置いた上で、ファンドを選ぶことが大切になります。言い換えると、インデックスファンドの場合、コストが安く、長期に渡って資金流入が続いているファンドが“良いファンド”と言って差し支えないのです。
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