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2021年2月21日

「動いた人」「動かなかった人」、恐ろしい格差が生まれている―2021年2月の個人型確定拠出年金(iDeCo)積立と運用成績

 

日経平均株価が30年ぶりに3万円台を回復するなど、あいかわらず好調な相場が続いています。このためSBI証券で運用している個人型確定拠出年金(iDeCo)も評価額がどんどん増える。このほど2月の買付(1月拠出分)が約定しましたが、評価額は前月に続いて過去最高を更新しました。そして、ふと気づくと私の身の回りでも「動いた人」と「動かなかった人」の間に恐ろしい格差が広がっているという現実を目にすることが増えています。

SBI証券のiDeCoオリジナルプランで買付けたファンド・商品は以下の通りです(カッコ内は信託報酬)。いつも通りのポートフォリオとなっています。

【個人型確定拠出年金(SBI証券iDeCoオリジナルプラン)】
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド」(0.16%)
「DCニッセイ外国株式インデックス」(0.189%)
「EXE-i新興国株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.1095%程度)
「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.075%程度)
「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(0.14%)
「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」(0.34%)
「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」(0.27%以内)
「あおぞらDC定期」

累積損益率は2月19日段階で+32.7%となり、引き続き評価額も含めて過去最高を更新し続けています。“コロナ・ショック”の時には、かなりの含み損となっていたのに、1年も経たないうちに、ついにすべての商品が含み益の状態に戻り、しかもコロナ前と比べても大幅な増加となっています。

iDeCo資産が大きく増加する一方、本業の方は相変わらず苦しい状況が続いています。勤務先の業績は依然として低迷しており、収入は大幅に減少した状態。収入が減っているのに資産が増えるというのは、なんとも皮肉な話です。これは前にも書いたことですが、“コロナ・ショック”から“コロナ・バブル”を経て、投資している人と投資していない人の間で猛烈な格差が広がっている。これは笑い事ではありません。

こうした格差を身近なところでも目にすることが増えました。じつは私は職場でiDeCo加入者第1号だったのですが、その後に数人ですが同輩や後輩の中にもiDeCoに関心を持つ人が現れました。いろいろと質問されるたびに自分の経験や考えを紹介し、iDeCoの使い方をアドバイスしてきました。すると、思い切ってiDeCoに加入する人と、やはり加入しなかった人に分かれます。

そして現在、私と同様に同僚たちも大幅な収入減少に見舞われているのですが、iDeCoに加入している人と、加入しなかった人で明らかな差が生じています。iDeCoに加入している人は資産が順調に増えており「ほんま、加入しててよかった。お前のおかげや」と感謝されるほど。一方、加入していなかった人は貯金を増やそうにも収入減少でままなりません。どうしても顔色が冴えなくなる。

同じ職場で働いていても、これだけの格差が生じているのです。そして、もっと恐ろしいことは、この格差が老後にまで波及することです。現在のように現役時代の収入が減少すると、当然ながら所得比例で決まる厚生年金の保険料(掛金)も減少します(実際に私は昨年、社会保険料の基準となる標準報酬月額が引き下げられました)。それは年金受給時に受け取る年金額が減少することを意味します。

やはり皮肉な話ですが、現在のように収入減少に直面した時こそ、iDeCoのような公的年金を補完する制度の重要性が増すことになる。そして、現役時代に「動いた人」と「動かなかった人」の間に生じる格差は、老後にまで影響を及ぼすのです。いま、この格差が恐ろしい勢いで拡大しています。なんとも残酷な現実ですが。

こうしたことを考えると、やはりiDeCoというのは私のように中小零細企業に勤務し、容易に収入が減少するような不安定な境遇にある人にこそ必要な制度だということが分かります。そういう意味で、やはりiDeCoは「格差是正のための制度」なのです。ただ問題は、そのことに気付いて自分自身が行動できるか否かにかかっているのでしょう。そう考えると、現在のように「動いた人」と「動かなかった人」の格差が可視化されるようになるのは、iDeCoがさらに普及する契機なのかもしれません。


【ご参考】
iDeCoに加入する場合、金融機関によって手数料や商品ラインアップが異なることに注意が必要です。現在、iDeCoプランの選択肢としてお薦めなのは運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえるSBI証券セレクトプラン、楽天証券、マネックス証券、松井証券、イオン銀行です。iDeCoへの加入を検討している人は、これら金融機関のプランを研究することをお勧めします。いずれもネットから無料で資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン楽天証券確定拠出年金プランマネックス証券確定拠出年金プラン松井証券確定拠出年金プランイオン銀行確定拠出年金プラン

iDeCoは公的年金を補完する制度ですから、これを活用する前提として日本の公的年金制度について勉強することを強くお勧めします。この点に関しては、権丈善一先生の『ちょっと気になる社会保障』が最良にして必読の入門書です。このほど、三訂版『ちょっと気になる社会保障 V3』が刊行されました。また、iDeCoも含めて現在の公的年金制度を徹底的に利用するための戦略書として田村正之さんの『人生100年時代の年金戦略』が非常に網羅的にまとめられていてお勧めです。家計管理から貯蓄・投資、公的年金やiDeCo・つみたてNISA活用までトータルに解説している竹川美奈子さんの『50歳から始める! 老後のお金の不安がなくなる本』も老後資金について“自分ごと”として考えるための方法論を丁寧かつ詳細に論じた優れた入門書です。



iDeCoは制度がやや複雑なので加入を検討する場合は解説書を読んで研究することもお勧めします。解説書としては大江英樹さんの『はじめての確定拠出年金投資』山崎元さんの『確定拠出年金の教科書』『シンプルにわかる確定拠出年金』竹川美奈子さんの『一番やさしい!  一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』田村正之さんの『はじめての確定拠出年金』大江加代さんの『図解 知識ゼロからはじめるiDeCo(個人型確定拠出年金)の入門書』を挙げておきます。









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